現代のプレミアムカー市場にも影響を与えた
ここで気になったのが、先頃引退した同社のエクゼクティブデザイナーだったゴルデン・ワグナーの意見。彼はCLS以前のデザインについて責任のある立場で、従来のセオリー、テイストには相当なこだわりがあったはず。
ですが、「CLSはデザインアイコンであり、我々はそのDNAを極限まで追求し、エロティックともいえる官能的な美しさを与えた」とべた褒め(笑)。やっぱり、もっさりデザインには飽きが来ていたのかもしれません。ちなみに、ワグナーは後のEQSにもCLSの流れを取り入れるなど相当お気に入りだった模様。
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こうして自動車界のトレンドをほしいままにしたCLSですが、時代がSUV全盛へとシフトするなかでも着実に後継モデルをリリースし続けます。初代が放った「4ドアなのにクーペ」という衝撃。2代目が挑んだ「チーターのような筋肉質な躍動感」と、3代目が辿り着いた「エッジすら削ぎ落とした官能的な純粋さ」。そもそもメルセデス・ベンツは、ただのEクラスの派生モデルを作るつもりなど毛頭なかったのでしょう。クルマの歴史において、実用性(4ドア)とエゴイズム(クーペの美)を高い次元で融合、世界中のメーカーを追従させた例は、メルセデス・ベンツ史において唯一無二かもしれません。
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ところで、AMGもV8ツインターボのCLS 63(585馬力/81.6kg-m)というハイパワーマシンを作っていましたが、ブラバスはノーズに6.2リッターV12ツインターボを詰め込み、730馬力というモンスターマシンを生み出しました。
こちらは2006年のナルド最高速チャレンジで362.4km/hを叩き出し、4ドアの最高速記録としてギネスに認定されています。ブラバス・ロケットと呼ばれたこのマシンは、CLSがもつ「実用性とエゴイズムの融合」という奇妙なコンセプトを、もっとも過激な形で体現した記念碑ともいえるのではないでしょうか。