この記事をまとめると
■ガソリンスタンドは1994年に6万件あったが現在はその半分以下になっている
■背景には燃費のいいハイブリッド車が普及したことが挙げられる
■地下タンクの入れ替え工事に莫大な費用が掛かるのでそのときに廃業を選ぶ会社も多い
ガソリンスタンドの閉店が相次ぐ背景
ガソリンスタンドの軒数は、バブル経済崩壊後の1994年に6万軒超となって以後、右肩下がりで減少を続け、2024年の実績では2万7000軒あまりと55%も減った。給油を必要としない電気自動車(EV)の普及が数パーセントでしかない日本で、なぜ、ガソリンスタンド減少に歯止めがかからないのか?
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理由は大きく2つある。
ひとつは、1997年にトヨタのハイブリッド車(HV)プリウスが市販され、ガソリン消費を少なく抑える車種が誕生したことだ。プリウスの開発目標は、同じ車格の小型車と比較して、燃料消費を半減させることにあった。とはいえ、HVの販売は初代プリウスが登場してすぐには広がらなかった。99年にはホンダがインサイトを発売したが、それでもHVの人気はあがらなかった。
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3代目プリウスが2009年に登場したあたりから、ようやく消費者の目がHVに向くようになった。同じ年に、ホンダ・インサイトが2代目となり、車両価格を抑える戦略に出たことと、環境車に対する補助金が実施され、燃費のよさだけでなく、補助金を含めた買いやすさが向上したためだ。
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しかしじつは、ガソリンスタンドの軒数は、それ以前からずっと減少傾向にある。
理由は、気候変動に対する燃費への厳しい目だ。97年に、気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)が日本(京都)で開催され、ガソリンエンジン車も低燃費志向になった。アイドリングストップが当然の装備となり、ダウンサイジングターボといった技術も採用されるなど、ガソリンエンジンの燃費は飛躍的に改善された。税制面でも、達成基準からさらに10~20%燃費を削減した新車は、自動車税が減額された。かつてに比べ、全体的に燃費は20%以上よくなったはずだ。HVであるとか、EVなどと関係なく、エンジン車そのものの燃費が改善され、そのぶん、ガソリン販売量が減少したのだ。
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追い打ちをかけたのが、40年を超えた地下タンクの補修が義務化されたことだ。劣化したタンクからガソリンが漏れれば、土壌汚染につながる。基本的には貯蔵タンクを交換することになり、それには数千万円の費用が掛かる。高額になる理由は、タンク代に加え、ガソリンスタンドは舗装されているため、それをはがし、掘り返し、再び舗装し直すといった、周辺工事の上乗せが不可欠だからだ。
クルマの燃費が改善され、ガソリン販売量(すなわち儲け)が減っているところに、数千万円に及ぶ貯蔵タンク交換費用は、容易に回収できるものではない。すでに売り上げが落ち、事前に工事費用を貯蓄するゆとりもない。将来性の見込めないガソリンスタンドには、後継者も育ちにくい。
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いま、ことに都市部でガソリンスタンドを続けている事業者は、自分の土地での営業である例が多いようだ。借地では、とても地代を払っての商売にはならない。借地で営業しにくい点も、ガソリンスタンドの減少につながっている。
加えて、イラン戦争によるホルムズ海峡の事実上の閉鎖にともなう原油価格の上昇に対しては、国が補助金を出しても限度がある。ホルムズ海峡の閉鎖が解除されても、中東の石油関連施設がすでに被害を受けており、回復には長い時間を要するとの予測もある。
ガソリンスタンドの減少は、今後さらに厳しさをともなうかもしれない。