無限が本気を出したまごうことなきホンモノの走り! 常識的な中古価格で手に入る「S660 MUGEN RA」は間違いなく買いなクルマ (2/2ページ)

誰もが気軽に楽しめた無限のDNA

 そしてこの「S660 MUGEN RA」の真骨頂ともいえるのが、専用の足まわりだ。なんと標準でビルシュタイン製のネジ式車高調が取り付けられており、最大25mmの下げ幅を稼ぐことができる設定とされていた。いまどき、格安車高調ですら全長式(フルタップ)が多いので「ネジ式?」と思う人もいるかもしれないが、ネジ式車高調のほうが構造がシンプルで耐久性が高く、チューブ内のオイル容量も稼げるので、じつは単純にスペックで比較すれば全長式よりも優れている場合も珍しくない。実際、レーシングカーもネジ式を採用するケースは多い。ビルシュタイン製となった背景には、「さまざまなパーツをテストしたなかで、1番相性がよかったから」と語られている。

 また、ホイールは無限が設計したモノをBBSが鍛造にて製造。標準のS660と比較して、1台あたり合計でマイナス5.8kgの軽量化を果たしている点も見逃せない。ちなみにホイールサイズは標準モデルと同等となる。そのほかにも、野太いサウンドが特徴的な専用マフラーもインストールされていたので、乗っていて間違いなく刺激的な1台に仕上がっていた。当然、無限の名を背負う以上、開発はサーキットを中心に行われていたことはいうまでもない。

 車内も「MUGEN」の刺繍が入った真紅の専用シートであったり、メーターパネル内にも「MUGEN」の表記があったり、専用シフトノブや専用ステアリング、専用イグニッションスイッチ、限定車には欠かせないシリアルプレートを採り入れるなどなど、性能だけでなく所有感を満たしてくれる視覚的な演出も織り込まれていた。ボディカラーはフレームレッドのほか、プレミアムスターホワイトパールとプレミアムミスティックナイトパールの3色が用意され、先の2台の限定車よりも選択肢が広かった。

 ちなみに、S660は業界の自主規制値である64馬力を最初から出しているので、エンジンまわりにはとくに手は加えられていない。よって、エンジンパフォーマンス自体は標準車同等だ。なお、「S660 MUGEN RA」はシビックタイプRやCR-Zと異なり、CVTモデルも選べたので、MT車に乗れない人や得意でない人も選べる仕様で販売されていた点もトピック。誰もが無限テイストを楽しめるパッケージングであった。

 余談であるが、「RA」とはレーシングの「R」と、ユーザーがここからさらに自由にカスタマイズなどをして楽しめる、スタートや始まりの意味をもつ「A」が組み合わされてできた名前だ。

 この「S660 MUGEN RA」は、その足まわりの完成度の高さから、エンジンパワーに対して足が勝っているともいわれたほどで、このまま乗るもよし、チューニングするもよしという、まさに「A」の名に相応しいモデルだった。

 標準車に約プラス70万円というリーズナブルな価格も影響して、限定660台は早々に完売したという。

 S660は、生産終了が発表されてからあまりの駆け込み需要があった影響で、急遽増産に走るなど、最後まで人気の高いモデルであったこともあり、現在もそこそこ高い中古車相場を維持している。よってこの「S660 MUGEN RA」も、新車価格が289万円だったのに対し、その額を下まわる物件もわずかにあるものの、多くは新車価格を超えた価格で販売されている。しかし、第2世代GT-RやシビックタイプRのようにとんでもないプレミア値にもなっていないので、気になっている人は早めに動いたほうがよさそうだ。

 ちなみにS660には、通常モデル向けのエアロパーツなども多数展開しており、これらのパーツの人気も高かった。なのでイベントで無限パーツを装着したS660は多く目にすることができる。

 このほかにも、こちらもホンダのワークス的な立ち位置にいる、ホンダアクセスが手掛けたモデューロXなる、足まわりと空力を重視した限定車もあるが、こちらの紹介はまたの機会に。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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