予算度外視の中身は売れば売るほど赤字とも言われた
エクステリアは、ボディカラー以外一見純正と変わらないが、よく見るとバンパーのデザインが異なっていることがわかるだろう。じつはこのバンパー、なんとレーシングカーで使われるのと同等の非常に高価なドライカーボン製となっており、これ以外にも可変式リヤウイング、フロントシート左右のシートバックにもカーボンが使われている。
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なお、「シビック MUGEN RR」に使われているカーボン素材は、よくあるウエットカーボンと異なり、より軽量で高剛性なドライカーボン製なので、製造にかなりの手間がかかる。よって、フロントバンパーを1個作るにも、なんと4人で1日半かかるほどだったそう。話は若干逸れるが、先日発表・抽選受付がスタートした、トヨタ GRヤリス MORIZO RRに採用されているドライカーボン製リヤスポイラーも1日1台分しか作れないともいわれているので、このバンパーが只者ではないことがおわかりいただけるだろう。
そのほかにも、アルミ製ボンネットや専用リヤバンパーに専用の鍛造ホイール、先述のエキゾーストシステム、フロント左右シートなどなど、専用パーツのオンパレードで、量産車からマイナス15kgという、異例の軽量化を叶えた。市販車のシビックタイプRが、標準車から10kg軽量化されていることは、量産車という視点で見れば異例で大健闘といえるのだが、そこから無限はさらに15kgも削っているのだから、異常ともいえることをやってのけていることになる。
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これらの専用エクステリアパーツによって、「シビック MUGEN RR」は、量産車としては異例のマイナスリフト(車体を地面に押さえつける効果・ダウンフォースの意味)を実現している点も見逃せない。
足まわりも減衰力が5段階で調整できる専用サスペンションを採用し、ブレーキも専用の軽量スリットローターにサーキット使用可能なブレーキパッド、さらには熱で膨張してフィーリングが変わらないよう、ブレーキホースのステンメッシュホース化まで施されている。なお、冷却性能も先に述べた専用バンパーで向上している。そしてなんと、量産車のシビックタイプRが専用設計の「ポテンザ RE070」を純正採用していたにもかかわらず、この「シビック MUGEN RR」はそこからさらにスペックを極めた、専用タイヤまで採用していた(銘柄は同一)。なお、足まわりは専用設計といいながらもハードではなく、量産車と比較するとむしろマイルドだったそうだ。余程、純正の足まわりが異質だったといえる。
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インテリアは、レカロの専用シートやDefiの3連メーター(水温・油温・油圧)の採用、シリアルプレートの採用と、量産車と比較すれば大人しい変更だが、十分所有欲を満たしてくれる演出だ。
このように、メーカー(ホンダ本体)にはできない徹底したワークス仕込みのチューニングを施した、無限による初のコンプリートカーである「シビック MUGEN RR」は、300台限定で477万5000円で販売、たった10分で完売した。
この価格、この中身を見ればわかると思うが、どこからどう見てもバーゲンプライスといった中身で、量産車の標準価格、283万5000円にたった190万円程度上乗せしただけだ。
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「たったとか、バカいうんじゃない」と思う人もいるかもしれないが、エンジンを職人が組み直してパワーアップを実現して、エキゾーストも専用品、専用の鍛造ホイールやタイヤ、ブレーキを採用し、ドライカーボン製のパーツがあちこちに取り付けられ、サーキットでもテストされ……とかなんとか考えたら、激安を通り越して爆安もいいところ。実際、関係筋の話では、売れば売るだけ赤字だったともいわれている。
ここ数年で登場したメーカー製コンプリートカーの価格を見れば、これがいかに異常だったかよくわかるはずだ。
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そんな「シビック MUGEN RR」だが、ここ10年前までは中古車市場に出てくると概ね400万〜500万円台で販売されていた(量産車は150万〜300万円程度)。こう見るとなかなか高価であったが、最近(ここ1年ほど)見た価格では、1500万円かそれ以上と思われる(ASK)といったプライスが見受けられ、とても手が出る価格ではなくなってしまった。パーツ単体がまれにオークションで出品されることもあるが、場所と状態次第では、高年式の中古の軽自動車が買えるほどになることも珍しくない。
現在、無限の絶版パーツは、人気車種用であればモノ次第ではクルマが買えるほどの高値で取引されており、世はまさに無限バブル状態なので、「シビック MUGEN RR」に関しては天井知らずの価格になっていくことは間違いないだろう。これから先、現在の第2世代GT-Rの限定車、それこそR34GT-RのニュルやMスペック相当の存在になる可能性もあり得なくはない1台だ。
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無限渾身のヤリすぎコンプリートカーであった「シビック MUGEN RR」は、Rを超えた究極のR、スポーツカー史における重要文化財とも呼べる1台なのだ。無限の夢であった「コンプリートカーを作りたい」という尋常じゃない想いが、このクルマには詰め込まれている。