なんとなく身体によさそうだけど……クルマのイオン発生器はぶっちゃけどういう効果がある? カーエアコンに搭載される「イオン発生器」の正しい知識 (2/2ページ)

OHラジカルの発生量は4兆8000億個/秒

 お話をうかがったのはパナソニックの社内カンパニー、くらしアプライアンス社の大江純平さんと松島涼貴さん、浅見琴さん。ナノイー技術や搭載製品の開発に携わる方々に、基本的なメカニズムからクルマの運転に深く関わる最新研究まで尋ねた。

 まず、ナノイーの発生装置については、ペルチェ素子と霧化電極、対向電極という3つの部品が心臓部と言える。ペルチェ素子は、最近では携帯用ネッククーラーなど暑さ対策グッズで知られるようになった、通電すると冷却を行う装置。これによって電極を結露させ、集まった水に高電圧を加えることで、OHラジカルを含む帯電微粒子水を作り出す。

 電極の素材は強度が高く劣化しにくいチタンだが、直に放電を受け続ければ徐々に減ってしまう。スパークプラグと同じだと思えばわかりやすいだろう。しかしナノイー発生装置は、もっとも強い電気エネルギーが電極を覆う水で受け止められる。そのため、電極の劣化を抑えることができ、長期間使用しても部品交換が不要なメンテナンスフリーを実現したのだという。

 これは、OHラジカル量が1秒あたり4800億個というベーシックなナノイーから、48兆個に及ぶ最新世代のナノイーXまですべてに共通している。なお、車載用に使われるのは、4兆8000億個仕様の”ナノイーX”だ。

 2003年の商品化から、最大で100倍に増加したOHラジカル量。その秘密は、放電方式の進化にある。

カーエアコンがもたらす集中力向上の可能性

 当初のナノイーが採用したコロナ放電がいわば点だったのに対し、続くマルチリーダ放電は複数の線、最新のラウンドリーダ放電は円錐状の面となった。放電領域を広げることで、OHラジカル生成領域も飛躍的に広げたのだ。

 車載用ナノイーXは、マルチリーダ放電方式のOHラジカル4兆8000億個/秒仕様だが、建物内などに比べ、狭い車内をカバーするなら十分以上。菌・ウイルス/カビ/PM2.5/花粉/アレル物質/ニオイの除去のほか、美肌・美髪にも効果は期待できる。

 そして、最新の研究ではこれらに加えて新たな効果の可能性が見えてきた。集中力を、OHラジカルを含む水のような帯電微粒子水によって高める可能性が明らかになったと言うのだ。

 これはパナソニックが、インド工科大学ボンベイ校・交通システム研究室の教授による監修のもと、科学的に検証したもの。車内環境を再現したシミュレータを用い、帯電微粒子水技術使用の有無で、認知・判断・操作や脳波に変化があるかを調査した。

 これまでパナソニックは、帯電微粒子水技術による血中物質の変化を計測し、ストレス低減と同時に、集中力向上を示す結果を確認している。そこで、この効果を車載技術でも実証すれば、安全運転に寄与できるのではないかと、今回の研究がスタートしたのだと言う。

安全運転をサポートする集中力維持効果を実証

 試験は歩行者飛び出しや、交差点への右折進入など、日常的にありがちな危険を想定したシミュレーションコースで、脳波や視線といった生体データと、運転操作データを取得して総合的に分析。

 21〜42歳の男女20名で集計したデータは、帯電微粒子水放出時に視線の無駄な動きが減り、見るべきポイントをより長く注視したり、より適切な操作タイミングを判断したりするようになる傾向や、集中時に見られる脳波の状態が明確で、結果としてより安全運転が行われたことを示唆した。

 現時点では、帯電微粒子水やOHラジカルを体内に摂取したことによるものか、有害物質を除去した空気によるものか、詳細なメカニズムは不明だ。しかし、運転時の脳波や心拍数などの測定はシャープでも実施しており、集中力維持効果が実証されている。

 パナソニックによる運転操作も検証した試験によって、OHラジカルを用いる空気清浄技術が、運転操作に集中しやすい状況を生み出していることは実証されたと言えるかもしれない。これまで、もっぱら空気清浄機能に期待していた装備が、安全運転に好影響を与えるとなれば嬉しい話でもある。

 集中力を切らさないためには、体調やメンタルを整え、運転姿勢を再確認するといった基本をおろそかにしないことが基本であることは言うまでもない。とはいえ、長時間/距離移動などの際は、気づかないうちに疲労が溜まり、漫然運転になってしまうこともあるだろう。そんなときのサポート役になってくれるかもしれないアイテムが、あなたの愛車のエアコンにも付いているかもしれない。

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております


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