「赤字覚悟でもやります!」 トヨタが旧車パーツを復刻し続ける“胸熱”な理由 (2/2ページ)

技術が進化したからこその復刻することの難しさ

 AE86用4A-GEのシリンダーヘッド/ブロックに加え、2026年は80系スープラのインストルメントパネル(右ハンドル用)という”大物”の復刻が予定されているが、やはり復刻はひと筋縄ではいかないようだ。

「部品復刻の難しさは、材料と図面をいかに現代化するのかということです。現代に当時とまったく同じ材料は存在しませんが、要求性能を満たす同種材料は数多く存在します。そのなかからどれを選択すれば、よりお客さまの期待に沿ったものになるのかを考慮し、必要に応じて物性評価や加工テストなどを行います。これらの評価・テストの費用も販売価格に影響しますので、材料の選定には知識と知恵、適切な判断が必要となり非常に難しいです」

「もうひとつは図面です。当時の図面は残存していますが、3Dデータでの現代のもの作りには情報不足です。当時は紙の図面から木型を職人が仕上げていたように、現存しているオリジナル部品を基に3Dデータを仕上げました。このたび復刻するインストルメントパネルは、木型を使っていた時代を知る社員から若手の社員へと技術継承もしながら復刻を進めました」

 GRヘリテージパーツはサードパーティ製ではなく「トヨタ純正部品」として供給されている。あえて「純正」の言葉にこだわる理由は?

「まず、トヨタが部品の生産をやめたあとも、そのクルマを守るために部品を生産し続けていただいたサードパーティのみなさまへのリスペクトを込め、GRヘリテージパーツプロジェクトにおいては原則として、メーカーでなければ生産・販売が難しい部品を優先して復刻・販売を行っています。そのうえで、GRヘリテージパーツはメーカーが生産する純正部品である以上、お客さまに安心して使っていただけるよう、高い品質を確保できるよう努めています」

 プロジェクト発足から約7年、300点超の部品を復刻してきたGRヘリテージパーツ。最後にオーナーへのメッセージを聞いた。

「お客さまからいただく『復刻してくれてありがとう』『このプロジェクトがあるから、いまのクルマに安心して乗り続けられる』といった嬉しいお言葉が、我々の背中を押しています。今後も思い出の詰まった愛車と長く、よりよい時間を過ごしていただけるよう、新たな部品復刻にチャレンジし、お客様にお届けし続けます」

GR HERITAGE PARTS

  

 TOYOTA GAZOO Racing(GR)が手がける「GRヘリテージパーツ」は、生産が終了し入手困難となった純正部品を復刻・再供給する取り組みだ。長年愛用してきた旧車を「これからも乗り続けたい」というオーナーの想いに寄り添い、修理・維持に必要なパーツを再び届けることを目的としている。

※本記事は雑誌CARトップの記事を再構成して掲載しております


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