何度も門前払いされた「幻のF1博物館」についに潜入! さらにはフランス最大級の旧車フェス「クラシック・デイズ」の熱狂もお届け!!
宿望の博物館を訪れるため同時にイベント取材も敢行
そもそもクラシック・デイズを取材しようと思ったきっかけは、マニクール・サーキット内にあるフランス・シングルシーター博物館の存在でした。フランス製の歴代F1マシンが収蔵展示され、とくにリジェに関しては(ほぼ)全モデルが並んでいると知ったときから、ぜひ1度観てみたいと思っていました。

これまでフランスを訪れるたびに何度か、サーキットのメインエントランスまで行ったものの、守衛さんに「今日はお休みだよ」とか「いまは工事中でね」と門前払い。ならばイベント開催時にはオープンしているだろうと考え、今回の取材スケジュールを立てたのでした。
実際に訪れてみるとシムカ・ゴルディーニやDB(ドーチェ&ボネ)、リジェ、マルティニ、ルノー、AGS、プロストとフランス製のF1が勢ぞろい。さらにアルピーヌやマルティニ、カウーゼンなどのミドルフォーミュラも数多く収蔵展示されていて、もう「感激!」のひと言。チューリッヒからの長旅の疲れも吹っ飛んでしまいました。

ということで、本論のクラシック・デイズに話を進めましょう。ヒストリックカーイベントは国内外で何度も取材していますが、基本的には古いレーシングマシンの現オーナーがサーキットを走行する、あるいはイタリアのヴェルナスカ・シルバーフラッグのように、クローズドされた公道を走る、というもので、それはル・マン・クラシックでもフェスティバルofスピードでも変わりありません。違っているのはイベントの歴史と規模です。
F1カーの走行も見どころ!
フランスのヒストリックカーイベントはル・マン・クラシック以来となりましたが、グループ6やCカーに加えて旧いF1カーが走るのがル・マン・クラシックとの違い。参加する車種も特徴的。さまざまなクルマと出会えることは、個人的にも大きな取材目的となっています。
1977 Hesketh 308E #3・Ford-Cosworth DFV
ヘスケス・レーシングで製作されたヘスケス308Eの3号車。質実剛健なパッケージだが、スポンサーのペントハウスと紙巻き煙草のリズラの意向で、美女がリズラを抱きしめたカラーリングが話題に。
1977 Hesketh 308E #3・Ford-Cosworth DFV画像はこちら
1986 Ligier JS27・Renault EF15 V6 Twin-Turbo
リジェは1976年にマトラV12を搭載したJS5でF1GPに初参戦。77年にジャック・ラフィットが初優勝を飾るとコスワースDFVに換装した79年には一気にトップグループに。86年のJS27は開幕こそ好ダッシュを見せるも以後は低迷。
1986 Ligier JS27・Renault EF15 V6 Twin-Turbo画像はこちら
コースサイドに出かけて撮影するのも大きな楽しみですが、今回はカメラマン用のビブスが上手く手配できずに、基本はパドックでのクルマ撮影がメインとなりました。でも、これまで出会ったことのないレーシングカーを深く観察するには、パドックでの撮影がより好都合。見たことのないマシンを探しまわり”放し飼い”状態でパドックを何度も何度も往復してしまいました。
もうひとつ、今回のクラシック・デイズでは気になるコンテンツがありました。博物館で言うなら企画展になるのでしょうか、レジェンドドライバーのデレック・ベルや、F1初参戦から50年を経たリジェといった特集が組まれサイン会や企画展示が行われました。
元F1ドライバー「デレック・ベル」来訪
今回の”主人公”となったデレック・ベルは、ル・マンで5勝、1985年と86年にはスポーツカー世界選手権を連覇。スポーツカー・マイスターのイメージが強いが、F1GPにも参戦。御年84歳だがそんな年齢を感じさせないほどにエネルギッシュで、ルノー・アルピーヌでデモラン。ともに臨んだサイン会では82歳のジャック・ラフィットよりも若々しかった印象がある。
クラシック・デイズのゲストのデレック・ベル氏画像はこちら
前者では幾度も繰り返されたサイン会に加えて、ル・マン優勝車を使ってのパレードランなど傘寿を超えてなおパワフルな立ちまわりをするベルさんを見て、あんな歳の取り方をしたいと思ってしまいました。
また、リジェのF1初参戦から50周年の企画展示では、1973年のJS2(グループ5)を中央に、1986年のJS27・ルノーと、2014〜16年のJSP2(LMP2)が両サイドを固めるという、「昨日・今日・明日」ならぬ「一昨日・昨日・今日」の3ショットが演じられていたのが印象的でした。結果的に今回の取材行は、スイスからフランスにかけても充実した博物館取材ができた上に、マニクールではイベントと博物館の両方を満
喫でき、”ひと粒で2度美味しい”取材行になりました。
1973 Ligier JS2・Maserati V6 Twin-Turbo
1971年から製作されていたスポーツカーがJS2。シトロエンSMやマセラティ・メラクにも使用されていたマセラティ製の2670ccV6DOHCを搭載。コスワースDFVに換装して75年ル・マンにも参戦している。
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2014-16 Ligier JS P2 for LMP2 Gen 1・Nissan VK45 V8
ドライバーとしてレースを続けてきたギ・リジェが興したコンストラクターが、オートモービルズ・リジェ。1976年にはF1GPにも参戦。そんなリジェとオンローク・オートモーティブが共同で開発したル・マンLMPカーがJS P2。
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1965 Mini Marcos GT & 1968 Triumph TR 250
ピット裏の“一等地”にブースを確保していたミニ・マーコスとトライアンフTR250のコンビ。ともに英国などのクラブマンイベントで活躍したが、ミニ・マーコスは1966年のル・マン完走の実績を持つ。
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1975 Moynet LM75・ROC-SIMCA
アンドレ・モイネがワンオフで製作したレーシングスポーツ。シムカの2リッターエンジンを搭載。1975年のル・マン24時間にはミシェル・ムートンとクリスティーン・ダクルモント、マリアンヌ・ホープフナー組が参戦。クラス優勝を果たしている。
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1978 Alpine A442B・Renault-Gordini V6 Turbo
1978年のル・マン24時間でディディエ・ピローニ/ジャン=ピエール・ジョッソー組がルノーに初勝利をもたらしたアルピーヌA442B。前年モデルのA442Aに対して、ルーフ上の整流カバーを装着したのがポイント。カバーを開けた状態でのカットは非常に珍しい。
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1971 Matra 530 LX & 1954 DB Tank Le Mans 53
1971年式のマトラ530LXと、その始祖にあたるDB(Deutsch-Bonnet)の1954年式タンク。ルネ・ボネ・マトラ・ジェットを経て登場した530LXはミッドシップの2+2というパッケージ。一方のDBタンクはFWDのロードスター。センターのヘッドライトはレース仕様に準じていた。
1971 Matra 530 LX & 1954 DB Tank Le Mans 53画像はこちら
1982 Porsche956 Le Mans 24h Winner
グループCが導入された1982年のル・マン24時間で、ベルがジャッキー・イクスと組んでル・マン24時間を制覇したポルシェ956も展示されていた。
1982 Porsche956 Le Mans 24h Winner画像はこちら
Nissan SunnyⅡHatch-Back & 1991 Honda Beat & Nissan Bluebird
メインパドックから少し離れたサブパドックで見かけた日本車3台。懐かしいブルーバードとサニーに挟まれたホンダ・ビート。2台の日産車は海外生産車(or輸出仕様)と思われるが、ビートは日本仕様の右ハンドルでダッシュボードには本誌の別冊「ニューカー速報」が飾られ、点検整備済みのステッカーも貼られていた。
Nissan SunnyⅡHatch-Back & 1991 Honda Beat & Nissan Bluebird画像はこちら
マニクール:クラシックデイズ2026 magny-cours classic days2026
2008年にマニクール・サーキットで初開催されたクラシック・デイズは、F1マシンからレーシングスポーツ、あるいはツーリング&GTのレースカー、そしてハイパフォーマンスなロードカーまで、さまざまな旧車がサーキットを走行するヒストリックカー・イベント。今回はレジェンド・ドライバーのデレック・ベルを主人公に据えた幾つかのコンテンツやリジェのF1デビュー50周年を記念した企画展示も行われた。
クラシックデイズ2026のポスター画像はこちら
※本記事は雑誌「CARトップ2026年8月号」の記事を再構成して掲載しています
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