今後も価格低下は期待しにくい
前述したAE86とGR86の比較でいえば、エンジン排気量も1.6リッターから2.4リッターへ増えているし、トランスミッションも5速MTから6速MTへとアップグレードされている。機能アップが商品力として求められる要素も、車両価格の上昇につながっている。
さらにいえば、自動車メーカーはすべての部品を自社で製造しているわけではないし、鋼板などは製鉄会社から、タイヤもタイヤメーカーから調達している。
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直近、日銀が発表した2026年7月の企業物価指数は135.8となっていた。指数の基準は2020年平均を100としたものだから、この6年間でも企業間の物価は30%以上のインフレになっている。
自動車メーカーの調達費用が、企業物価指数と同じ比率で上がっているとはいえない面もあるが、この数字を平均的に見るならば、原材料費が3割増しになっていると捉えることができる。
また、国内の景気とは別の問題として、世界的なインフレ基調も、グローバル企業である自動車メーカーには大きく影響する。その点では為替の動向も無視できない。
2021年に登場したホンダ・シビックEX(1.5リッターターボ)の価格は353万9800円だったが、マイナーチェンジを繰り返すことで、現在は394万6800円と1割以上も上がっている。だが、企業物価指数の伸びをみると、ホンダの企業努力によって値上げを抑えていると評価すべきなのかもしれない。
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しかしながら、こうしたマイナーチェンジやフルモデルチェンジに合わせた価格見直しといった、ある種の商慣習が新車価格の上昇につながった面もあるだろう。
一般ユーザー向けの工業製品においては、継続生産の途中で価格を変えることは難しい面もあるが、自動車の場合はマイナーチェンジごとに原価上昇を織り込んで価格を変動させることができるし, フルモデルチェンジの際に一気に価格帯を変えることも可能だからだ。
もちろん、価格上昇によって販売減になるようでは本末転倒といえる。実際、日本の新車市場は10年前には年間500万台規模だったが、現在は400万台規模にスケールダウンしている。
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量産効果によって価格を下げることができる自動車のような工業製品においては、市場規模がシュリンクすることは1台あたりの製造コストが上がることにつながる。こうした部分も日本における国産車の価格アップにつながっている。
あまり悲観的なことはいいたくないが、まとめると新車価格が下がるような未来は描きづらい。好きなクルマを買える社会になるには、給与アップなど財布が豊かになる経済政策、収入を増やす個人の努力が必要といえそうだ。