1600馬力のW16エンジン搭載! ブガッティが放つ世界にたった1台の究極モデル「デストリエ」の正体 (2/2ページ)

価格も仕様も購入したたったひとりのオーナーにしかわからない

 まず注目したいのは、そのエクステリアデザインだ。ボライドと比較すると、デストリエのボディからは過激なエアロデバイスは取り払われていることがわかる。リヤのウイングやディフューザーはそれなりの存在感をもつが、全体的な印象はスムースでかつダイナミックな面の構成を意識させてくれるもの。

 車高はボライドよりさらに低く、ほぼ1000mmに抑えられており、フロントに20インチ径、リヤに21インチ径の専用ホイールを装着することで、フットワークの力強さを演出した。ボディカラーはこのデストリエのオーナーのために特別に作られた「サファイア・セレスト」と呼ばれる深みのあるブルー系で、このカラーとポリッシュ仕上げのアルミニウムパーツとのコントラストはシャープで、そしてもちろん目には美しく映る。

 インテリアも、まさに贅を尽くしたフィニッシュだ。ブラウンの高級レザーとヌバックが惜しみなく用いられ、さらに細い銅線が織り込まれた3Dニットテキスタイルが組み合わされるほか、ドアオープナーやエントランスプレート、エアコンの吹き出し口などには、ハンマード仕上げのアルミニウム製パーツが使用されている。

 左右のシートは見るからに圧倒的なホールド性を予感させてくれるデザイン。ヘッドレストにはデストリエの刺繍が入る。

 さらに高い趣味性を感じさせるのは、フロントウインドウのセンター上部に、タイプ57Gタンクとタイプ57SCアトランティーク・クーペをハンドレーザー刻印で描いたプレートがフィットされていること。ボライドでは緊急停止ボタンや消火器ボタンが備わっていたセンターコンソールには、シンプルなイグニッションスイッチが採用された。

 ミッドの8リッターW型16気筒+4ターボエンジンが発揮する最高出力は1600馬力。これはボライドとの比較ではやや控えめな数字になるが、ここにもボライドとデストリエの差別化があるのだろう。

 デストリエという車名は、中世の騎士が駆った最高級の馬に由来するものであるという。ブガッティはこのデストリエがロード走行を可能とするモデルであるのか、あるいはボライドと同様にサーキット走行専用車であるのかを明確にしていないが、それが1台のみ製作されるものであることは、フィラーキャップに刻印される「1/1」の文字が証明している。もちろんその価格も正確に知るべき権利をもつのは、実際にデストリエをオーダーしたカスタマーのみであるのは当然なのだろう。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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