自動運転より「オイルの匂い」? Z世代が“修理地獄”でも80〜90年代の旧車に求める「アナログな快感」 (2/2ページ)

憧れて手に入れるも茨が待っている場合も

4)所有すること自体が得がたい体験でいずれ自分自身の資産に

 現代における新車の所有形態は、残価設定ローンやサブスクリプション、カーシェアリングなど、所有から利用へと移行しつつあります。そうした流れのなかで、手間がかかり、エアコンもまともに利かず、いつ故障するかもわからない旧車をあえて所有・維持することは、コスパやタイパとは対極に位置します。

 休日には手洗い洗車をして、近所をひとまわりして水気を飛ばし、さらには自身で可能な限りメンテナンスやカスタマイズをする。こうした行為は、自分自身で所有しているからこそ成し得ることです。

5)アニメや映画の世界で夢中になった「憧れの再現と実現」

 子どもの頃に触れた漫画やアニメ(『頭文字D』や『湾岸ミッドナイト』など)や、映画「ワイルド・スピード」シリーズ、「グランツーリスモ」などのクルマ系ゲーム。さらには、海外で再評価されている「JDMカルチャー」の動画に親しんで育った世代にとって、当時のクルマは過去の存在ではなく、憧れの対象として認識されています。

「幼少期にエンターテインメントの世界で触れたクルマに、大人になった自分が乗る」というストーリー性や、国境を越えたネットコミュニティでの評価が、旧車を選ぶ動機のひとつになっているのです。

まとめ:憧れだけではどうにもならない「覚悟」が必要な世界でもある

 たとえフルオリジナル&ガレージ保管&ワンオーナーカーであっても、古いクルマであることに変わりはありません。経年劣化が進み、交換が必要な部品、寿命が近い(あるいは過ぎている)部品が確実に存在するのです。そのまま放置すれば、故障するだけでなく、場合によっては重整備が必要なトラブルにもなりかねません。

「憧れの存在」や「子どものころからほしかった」という想いだけではどうにもならない現実があります。目まいがするような修理費用、1年の半分以上は工場入り……といった事態も起こります。そのすべてを受け入れ、本来の姿に戻す必要があります。それも1度では済みません。何度も繰り返されることもしばしばです。

 耐えきれず手放すか、手に入れてから数年後(あるいはそれ以上)、ようやくトラブルが一段落するまで対処するか。オーナーとして相応しいか、クルマに試されているのかもしれません。いずれにしても「覚悟」そして「相応の出費」が必要な世界であることは確かです。


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松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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