部品数650点超え! 超高級時計の職人が作ったブガッティ「1800馬力ハイパーカー」の超アナログメーターが芸術品すぎる (2/2ページ)

文字通り「美術品」の領域へ

■時計の「時針と分針」のように重なる、2本針の制御

 メーターパネルは3つの円形独立ダイヤルで構成され、左側には水温・油温・燃料・バッテリー残量を集約した4連メーター、右側には1800馬力の出力をリアルタイムに表示するパワーメーターを配置。中央に位置するメインメーターには、時計の「時針と分針」のように、2本の針が同じ軸に重なって配置される独創的なレイアウトが採用されています。

 また、外側の長い針はエンジン回転数を示し、最高1万rpmまで刻まれ、まるで時計の秒針のように滑らかに、そしてときにはアクセルワークに応じて鋭く跳ね上がるとのこと。一方で、内側の短い針はクルマの速度を示し、最高550km/hのスケールに向かって外側の針とは独立して動き、これまた見たこともない光景となるのです。

 精密な歯車たちが数ミリ秒単位で高速かつ正確に連動し、2本の針を完璧に別個にコントロールする様子は、液晶メーターに慣れた目には刺激が強すぎるくらいです。

■メーターを常に主役にする「固定式ハブ」のギミック

 このメーターを、ドライバーから一瞬たりとも隠さないためのアイデアもじつに秀逸。一般的なクルマはハンドルをまわすと中央のエンブレムやスポークも一緒に回転するため、コーナリング中にはメーターの一部が手の影に隠れてしまいます。しかしトゥールビヨンでは、ステアリングの中央部分とメーターパネルを車体に固定。ドライバーがハンドルを切ると、外周のリム(輪っか部分)とパドルシフトだけが回転し、中央のメーター本体は常に直立したまま。世界最高峰の時計仕掛けの造形が常にドライバーの正面に佇み、視認性を損なうことなくその芸術性を味わうことができるのです。

 ブガッティ・トゥールビヨンが提示したこのメーターは、効率性やコストを追求する現代のクルマ作りに対する、贅沢でエレガントなアンチテーゼにほかなりません。この際、富裕層のためのコレクターズアイテムというひがみは横へ置いて、自動車史における「工芸品のベンチマーク」として、素直に感動するギミックだと受け止めたいものです。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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