自動車社会を襲う変化とEVシフト
自動車市場の構造においては、電動化へのシフトが加速する決定的な要因となる。2026年現在、バッテリー技術の進歩や車体プラットフォームの最適化により、モデルやグレードにより異なるがBEV(バッテリー電気自動車)の車両本体価格はICE車と差が縮まりつつある。ガソリン価格が1リットル300円に達すれば、ICE車とBEVを同様の条件で比較した場合、「総所有コスト(TCO)」の逆転現象がより早期かつ明確に現れるだろう。
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とくに、自宅に太陽光発電設備など再生可能エネルギー設備を保有していれば、充電にかかるエネルギーコストを大幅に抑えることができ、燃料価格高騰のヘッジ手段としての優位性が高くなる。また、中古車市場においても、燃費の悪い大型SUVや大排気量エンジンのICE車の需要は急減する一方で、エネルギー効率に優れたBEVへの需要が顕著に大きくなるだろう。
さらに、ICE車からBEVへの急激な移行は、社会インフラに対する新たな課題を提起する。当面は燃費に優れたHV(ハイブリッド車)を選んで燃料代を抑える動きが先行するだろうが、HVもエンジンを備えてガソリンを使う以上、価格高騰の影響を完全には避けられない。ガソリンスタンドが採算悪化により統廃合を加速させる一方で、BEVの充電インフラの拡充が急務となる。
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とくに、基礎充電を担う住宅や勤務先での充電設備の整備、集合住宅における充電器の設置、経路充電を担う急速充電器のネットワーク構築が需要に追いつかないというボトルネックが顕在化してくる。加えて、多数のBEVが特定の時間帯に一斉に充電を行うことによる電力網への負荷集中も懸念材料だ。
これに対応するため、電力需給に応じて充電タイミングを制御するスマート充電技術や、需給に応じて電気料金を時間帯ごとに変えるダイナミックプライシングといった仕組みの社会実装が不可欠となるだろう。
ICE車の運用が経済的に困難になる層が増加することで、マイカーの所有という概念自体が見直される。都市部やその周辺では、必要なときだけ車両を利用するカーシェアリングサービスの運用効率が向上し、需要が拡大することが予想される。
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ガソリン価格が1リットル300円を超えるという事態は、単なる燃料費の高騰という経済的ショックにとどまらず、化石燃料に依存した従来の社会構造から、再生可能エネルギーを中心とした持続可能なモビリティ社会への移行を強制的に前倒しするだろう。私たちはこのような事態が起こる前から、クルマ選びの際、燃料価格に振り回されにくい選択肢も頭の片隅に置いておくことが必要なのではないだろうか。