真夏なのにスタッドレスで7時間レース!? BBQしながら走る謎の軽耐久に異音まみれのボロアルトで参戦してみた (3/3ページ)

勝負は残り1時間! さてどうなる!?

 そんなこんなでレースはスタートから5時間強が経過し、そろそろ筆者の出番がやってくるところになってきた。しかし、撮影をしていてあることに気がつく。そう、エンジンのメカノイズが相当酷くなってきたのだ。撮影していても聞こえるだけに相当だ。白煙などは確認できないが、これは本格的にマズいかもしれない。

 この事実はピット側も把握していた。しかし、残り1時間に対して残るドライバーは、いま出走しているドライバーと筆者、あとひとりで計3人。「卓上の大蒜(ガーリック)」の答えは決まった。「走りきろう」。

 筆者の出走順が来たら、雨が降ったり止んだりの難しいコンディションに。とはいえどうしようもないので、年に何回も着ないレーシングスーツを一丁前に着て、いざ出走。

 しかし、もとから回転数を縛っていたが、異音が悪化したことを考慮してさらに絞ったので、これが地獄。とにかく走らないのだ! リンクサーキットは上りと下りの勾配が厳しく、NAの軽自動車ではただでさえ怪しいのにそれがさらに非力となればまさに修羅。上位陣は「卓上の大蒜(ガーリック)」のことなぞ目もくれず順位を争っているので、とにかく邪魔にならないよう、そして壊さぬように走るしかない。下りのセクションでは前走車を一応追ったり(周回差がありすぎて意味がない)、少しレースっぽいことをしつつ周回を重ねる。

 そして下り+ウエットの路面にスタッドレスタイヤ(6時間使用)がまあ止まらない! リンクサーキットの1コーナー進入時は手前が長い下りなので、かなりスピードが乗っており、丁寧にブレーキを扱わないとなかなかに危険だ。普段じゃありえない状況でブレーキの踏み方を工夫し、さらに上位陣の邪魔にならないよう後ろを気にして、マルチタスクをこなしながらなんとか走る。

 いわずもがな。この時点で順位は最下位なのでもう落ちることはない。とにかくこの「ドラ○もん」を無事にピットに届けるのが筆者の使命だ。

 レースは残り40分。最後のドライバーにマシンを託す。最後のドライバーは現在ここ福島で仕事をしており、走り好きなので普段からリンクサーキットに通っている腕利きだ。が、もう筆者からドライバー交代をして走り出した瞬間、完全にダメな音がエンジンからしている。7時間の間に燃料給油はもちろん、2回もエンジンオイルを補給しているほど、エンジンは限界が近い。

 出走後、再び撮影に戻るが明らかにメカノイズが悪化しており、「なんで走れるんだ?」と思うほど。しかしオイルを吹いている気配はない。このクルマのオーナーももう振り切れたのか、「どうなってもいいから走り切ってくれ」と無線を飛ばす。ただ、白煙などを吐けばオイルでコースを汚すだけでなく、迷惑になるのでその時点で終了。

 異音を撒き散らしながら残り5分くらいとなったところだろうか。ドライバーから無線で「もうマジでヤバいかも!」と悲痛な叫び。しかし、残り時間はあと5分。周回にして2〜3周ほど。ピットからは無線で「いいから走れ! ってか頑張れ!」と鞭を打つ。ドライバーに言ってもしょうがないのだが、とにかく完走はすぐそこだ。FINALラップのボードも掲示された!

 そして7時間経過。我々「卓上の大蒜(ガーリック)」はなんとかチェッカーを受けることに成功した! チェッカーを受け、マシンがピットに戻ってきたが、最後は廃車が出すような凄まじいメカノイズを出していた。そして1度エンジンを切ったら最後、エンジンは始動したりしなかったりと、完全に終了。動いても凄まじい音がする。どうやらメタルがダメなようだ。

 万が一に備えてトラックを用意してきたので運搬には問題なかったが、本当に最後の力をこの「ドラ○もん」アルトは出し切ってくれた。意味わからないチーム名に酷い見た目のクルマであったが、ワークスチーム顔負けの、感動のチェッカーを受けたわけだ。

 ふとここで、後輩社員の「ミニカに搭載されてる3G83は神ですよ。ありえないほど頑丈で滅多に壊れないので。日本が誇る名機です。ミニカ買いましょう!」という意味不明な会話を思い出す。軽耐久を走り切るならミニカもいいかもしれないと、決してK6Aがダメなわけではないはずだが、このときばかりは思ってしまった。事実、このレースの上位にはミニカの姿が。

 ちなみに我々「卓上の大蒜(ガーリック)」は、7時間で140周を走りきり、トップとは32周差、ブービーのチームとも5周差と、リザルト上ではわかってはいたが大敗。ただ、このおふざけが過ぎるチーム名と感動のチェッカー(!?)が功をなしたのか、NK7では社長賞を獲得した。たしかに、インパクトだけは間違いなくあった……はずだ。しかし会場内のアナウンスでは終始「なんで名探偵コ○ンなんですかね? どう見てもクルマはドラ○もんなのに……」とかなんとか弄られていた。こっちが聞きたい。チーム名を決めた犯人もここまで名乗り出ず。

 急遽誘われて仲間に混ぜてもらった軽耐のNK7。自動車部や自動車系サークルの出身ではない(そもそも大学になかった)筆者的には自動車部ごっこのような、遅咲きな青春を味わえた、なんだかんだで充実した夏の思い出となった。”クルマを走らせる”楽しさが、この7時間に詰まっていた気がする。軽自動車でレースというのも、考えてみれば日本ならではの特異な文化だ。

 リンクサーキット支配人、大内さんは「岡山から福島まで来てくれたチームも過去にあります。2026年は11月にもやりますし、安く楽しめるはずなので、来年以降もぜひ”肉を焼きに”参戦しにきてください!」と締めた。我々以外どころかリンクサーキット自体もユーモア全開なようだ!? 気になった人は、ぜひ次回以降、クルマとメンバーを集めて参加してみてほしい。こんなレース、なかなかないはずだ。


この記事の画像ギャラリー

WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

編集者

愛車
ホンダ・シビックタイプR(EK9)/スズキ・ジムニー(JA11V→JB23W)
趣味
写真/ドライブ/サーキット走行/クルマ弄り/スノーボード/ダーツ/自転車/その他多数
好きな有名人
大泉 洋/織田裕二/篠原みなみ

新着情報