ブースト圧「2.0bar」はスゴくない!? 意外と知らないクルマのターボの「絶対圧力」と「相対圧力」の違い (2/2ページ)

最新技術で性能向上

 ここで注意すべきは、絶対圧力か相対圧力かの区別だ。日本では相対圧力でブースト圧が語られることが多く、大気圧の1barに追加した圧力分がメーター表示され、たとえば0.8barなどという数字が示される。吸気によるシリンダー内の圧が0.8気圧とした場合、ターボチャージャーによって0.8を追加すれば1.6の圧力が燃焼室内にもたらされたことになる。つまり、空気の密度は大気圧での1.2kg/m3の1.6倍相当濃くなることになる。これでも自然吸気エンジンに比べれば大きな出力向上につながる。

 一方、絶対圧力での表記になると、たとえば2barと示されれば、相対圧力での0.8barに比べ圧倒的に高圧と思いがちだが、これはすでに大気圧の1barに過給機での1barを追加した値なので、相対圧力の25%増しと解釈できる。ブースト圧が単に何barかだけで過給圧の大小を評価するのではなく、相対圧力か絶対圧力かを確認する必要があるのだ。

 近年、ターボチャージャーの過給圧をより高くできるようになったとの話がある。かつてはターボチャージャーを装備しても必ずしも高いブースト圧にできずにいた。理由はノッキングと呼ばれる異常燃焼が生じてしまうためだ。対策として、圧縮比を下げたり点火時期を遅らせたりするなどの対応をしたが、それでは効率が上がらない。

 近年は、多くのガソリンエンジンが筒内噴射(いわゆる直噴)を採用し、燃焼室内のガソリン濃度をきめ細かく調整できるようになった。また点火装置も電子制御によりきめ細かく調整できるようになり、点火時期の適合も燃焼状態に応じて適切に対処できるようになっている。

 当然ながら、空気の密度は標準大気圧で気温15℃での数値を基本としているので、過給された吸気温度を下げる必要があり、インタークーラーは不可欠な装備といえる。燃料供給方法や状況に応じた点火時期の適合により、異常燃焼を抑えながらより高い過給圧での出力向上が果たせるようになり、同時に圧縮比をあまり下げずに済むことで、ターボラグを軽減する出力特性も与えられるようになってきたといえる。


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御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

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