ジムニーやカングーでお馴染みの「鉄チンホイール」。なぜ17インチ以上の大径サイズが存在しないのか? (2/2ページ)

作ったところでメリットがなし

トラックにあって、乗用車にない「16インチ超え」の壁

 前述したように純正装着において、スチールホイールはせいぜい16インチが実質的な上限といえる。そうなっている背景には、ホイール重量とデザイン性というふたつの理由がある。

 物理的に、17インチを超えたあたりで、スチールホイールは十分な強度を確保するために板厚を増やす必要が出てくる。筒状の構造ゆえに板厚増は、二次関数的に重量を跳ね上げる。

 一般論として、大径ホイールを履くのは、高価格帯のモデルになる。

 こうしたモデルでは、「バネ下重量の軽さ」による、乗り心地やハンドリング性能が重視される。また、高価格帯となれば、鍛造製法や、鋳造にフォーミング製法を組み合わせるなど、より軽量なアルミホイールを作るコストも吸収できる。機能面だけでなく、スタイリングといった面での商品性においては、アルミホイールはスチールホイールよりも自由度が高く、圧倒的に有利だ。

 結果として、大径ホイールを履くような高価格帯のモデルになるほど、アルミホイールの比率が上がっていくというわけだ。

作れないわけではない。だが「作っても誰も買わない」

 トラックの大径スチールホイールには、耐久性というニーズを満たす目的がある。しかし、乗用車用ホイールにおいては意匠が商品性に直結する。アルミホイールが、乗用車用として十分な耐久性を確保しているのだから、あえてスチールホイールを製造するのはナンセンスだ。

 果たして、新たに乗用車向けの大径スチールホイールを作ることは不可能なのだろうか。

 ディスク面をプレスで作るというスチールホイールの製法から、大径になるほど大きな金型が必要となるし、プレス機の規模も大きくなる。ある意味、枯れた技術といえる小径スチールホイールとは異なり、大径スチールホイールを新規生産するとなれば、想像以上に製造コストは上がってしまうだろう。

 結果として、「重くて、デザインが凡庸で、アルミ製と大差ない価格」のスチールホイールが生まれる可能性が高い。

 もし、設備を用意して18インチや20インチのスチールホイールを作ったとしても、少なくとも乗用車向けに限れば、そこにニーズがあるとは思えない。誰も欲しがらないから、誰も作らないというのが、大径スチールホイールが存在しない理由といえる。

 逆に、小径のスチールホイールが存在しているのは、そこに合理性があるからと理解できる。

 スチールホイールを「鉄チンホイール」と呼ぶとき、どこか安っぽいイメージをもっているかもしれないが、スチールホイールは手抜きやコストカットの象徴ではない。適材適所で選ばれた、ある種の「機能美」から選ばれているといえるのだ。


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山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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