「知らないクルマばかり」外国人観光客が驚く日本の風景。日本車は世界で売っているのに見たことのないモデルだらけの不思議 (2/2ページ)

日本市場は特殊な環境にある

 その昔、世のなかがバブル経済と呼ばれていたころは、世界の自動車市場は西側先進国をメインに形成されていた。しかしいまでは、新車販売市場の中心は新興国になっているとされている。しかも新興国とひとくくりにできない事情がある。経済成長が始まった時期や経済成長の進捗状況に差が生まれており、新興国のなかでも新車販売市場の成熟度合が異なり、新車に求められるニーズも異なっているのである。

 一般的には経済成長が進むと、都市部から先に消費者の価値観が多様化してくるとされている。クルマをもっただけでステータスが高いとされる国もあれば、マイカーは当たり前で、他人とは異なるモデルに乗りたいというニーズが高い市場も、実際目立ってきている。

 社会の成熟した欧米や日本のような市場、まだまだ伸びしろのある新興国市場など、求められるニーズが世界市場レベルでは多様化するなか、より高級なモデルとコスパのいいお買い得車に二極化するという傾向は世界共通となっているように見える。つまり、中途半端に高そうに見えるモデルはなかなか売れなくなってきているのである。

 そのなか、日本市場は世界最速で進む少子高齢化により、世界市場とは異なる特異な市場を形成しているものと考えられる。そもそも、ミニバンや軽自動車が極端に売れてしまうというブレの激しい市場であったなか、とくに高齢世帯では選択肢なく維持費の安い軽自動車へシフトせざるを得ない現状というのもある(年金生活は結構大変)。ただ、高齢世帯すべてが軽自動車へシフトするわけでもなく、一部の富裕高齢世帯では欧州系高級ブランド車などに乗っており、それなりに二極化が進んでいる。

 日本がやや特異な市場ともいえるなか、中国、アメリカ、東南アジアでよく見かける日本車には違いがある。繰り返すが、世界中どこへ行っても知名度の高い日本車はカローラぐらいしかないのである。

 見たことのないクルマばかりというのは聞き方次第ではネガティブにも聞こえるが、それだけ世界の各市場に合わせたモデルを作りわけることができる、日本メーカーへの褒め言葉としてとらえていいのではないかと考えている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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