昔とは販売店の抱える事情もまったく違う
ちなみに2000年代の前半までは、値引き販売がいまよりも積極的に行われていた。とくに3月の決算期などは、車両価格に占める値引き額の割合が20%前後に達することもあった。車両価格が200万円なら値引き額は40万円、300万円のクルマなら60万円も値引きした。
この高額な値引きの原資は、メーカーが販売会社に支給する販売奨励金だ。これを値引きに充当したが、販売店のスタッフは「いまは昔に比べて販売奨励金が大幅に減った」と口をそろえる。原資が支給されないのだから値引きもしにくい。また、いまのクルマは値上げが活発に実施されている。同じ車種の同等グレード同士を比較して、車両価格は15年ほど前の1.2〜1.4倍に達する。
そうなれば販売店の利益も増えて値引きも増額されそうだが、販売店は「利益は増えていない」という。いまのクルマには安全装備や運転支援機能、ディスプレイオーディオなどが豊富に標準装着され、装備がシンプルだった時代に比べてコストは大幅に上昇している。直近では原材料費や輸送費も高騰した。つまり値上げされた以上にコストが高くなったから「販売会社の利益は増えず、値引きも増やせない」としている。
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このほかトヨタを筆頭に、納期の遅延も目立つ。ユーザーの側に「クルマを売ってほしい」という謙虚な意識が芽生えているため、値引き商談も控え目だ。
さらにいえば、インターネットの普及も影響を与えた。販売店では「いまのお客さまは、インターネットを使って買う車種からグレードまで、すべてを決めて来店される。そのためにライバル車と競争する機会も減った」という。ユーザーが複数メーカーの店舗をまわると、販売店は「他社も検討していますか?」と尋ねて「ウチは値引きでも頑張れますよ」と売り込む。しかし、購入したい店舗だけに出向くと、販売店もわざわざ値引きする必要がない。
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以上のように複数の理由により、いまは値引き販売が消極的になっている。これでは損だから、クルマを買うときには、値引きの商談も積極的に行いたい。