顔がほぼ全部ライトじゃん! 「新世紀エヴァンゲリオン」に登場して一躍有名になったアルピーヌA310ってどんなクルマ?

この記事をまとめると

■昔からアルピーヌは2+2のスポーツカーをラインアップに用意していた

■アルピーヌA310はモダンなフォルムと6個並んだ角型ヘッドライトを特徴とする

■A390として新車を登場させるならもう少しA310に似せたスタイリングにしてほしかった

流麗なスタイリングの2+2スポーツクーペ

 新生アルピーヌのロードカー第3弾、A390が発表された。アルピーヌ初のクロスオーバースタイルであるが、流麗なプロポーションはアルピーヌらしいし、A390というネーミングは、個人的には1971年に発表されたA310とのつながりを感じさせる。

 アルピーヌは昔から2+2のスポーツカーを用意していて、2作目のA108に2+2を追加すると、クラシックA110にはGT4という名前の4座クーペを、いずれもリヤエンジンでラインアップしていた。

 A310はこれらの後継車という見方もあるが、当時はポルシェ911の人気が高まっていて、ランボルギーニ・ウラッコやフェラーリのディーノ208/308GT4など、いくつかのスポーツカーブランドが2+2をリリースしており、そのひとつといういい方もできる。

 A110以前と大きく違っていたのがスタイリングで、幾何学的な線と面で描かれたモダンなフォルムだった。カバーのなかに収まったヘッドライトは角形で、フォグランプを含めて6個並べていた。そういえばほぼ同じ時期に出たシトロエンのグランドツアラー、SMも角形6灯だった。

 一方で、ボディの材質がFRPで内側には鋼管バックボーンフレームが貫き、リヤに直列4気筒OHVエンジンを積むという成り立ちは、クラシックA110と似ていた。2+2で大柄になったボディに1.6リッター4気筒は役者不足であり、販売台数は多いときでも年間600台前後と、直前のA110の約半分にすぎなかった。

 そこでまもなくルノーとプジョー、ボルボが共同開発した2.7リッターV6が与えられた。じつはA310、当初から大きなエンジンの搭載を想定して、エンジンルームを大きめに作ってあったのだ。これにより人気が上昇し、A110と同レベルの販売を記録した。

 クラシックA110のあとを受けて、A310もラリーに挑戦した。しかし、成績はいまひとつ。しかもルノーは、並行してコンパクトカー5(サンク)のリヤシートの位置に4気筒ターボエンジンを積んだミッドシップマシンの開発を始めていた。

 これが5ターボで、WRCでも何度か総合優勝を獲得した。ちなみにこの5ターボとA310のリヤサスペンションは同じダブルウイッシュボーンだった。ルノーがクラシックA110の役割をA310と5ターボに分担させたという見方もできる。

 その後、アルピーヌの系譜はV6GT/V6ターボ、A610ターボと続くが、1995年に生産を終了する。ところが日本では同じ年にスタートした「新世紀エヴァンゲリオン」で、葛城ミサトの愛車としてA310が登場。別の理由で注目の存在になった。

 アルピーヌの故郷フランスは日本マンガも人気で、エヴァンゲリオンも例外ではなく、欧州を代表するジャパンカルチャーのイベントとしてパリで行われる「ジャパンエキスポ」では今年、30周年記念企画が開催されるという。

 そんな年にA390がデビューするというのは偶然ではないような気がするのだが、それならもう少しA310のスタイリングに近づけてほしかったような気もする。


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森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

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