乗客にしてみりゃ最高の「ダブルデッカーバス」も「連節バス」も日本の普及はなかなか厳しい! 改めて実感する規制だらけの国「ニッポン」!! (1/2ページ)

この記事をまとめると

■タイではダブルデッカーへの縛りが厳しくなっており勾配のある7ルートを通行禁止に

■事故防止策と事業者負担の間で対立が表面化したことが背景になる

■規制の厳しい日本においては連節バスが輸送力増強策として注目されつつある

タイでお馴染みの光景が消滅の危機

 先日タイ現地からの報道として、ダブルデッカー(2階建てバス)の運行事業者が100台にも及ぶダブルデッカーを率いてデモを行ったと伝えていた。なにが起こっているのかと調べると、勾配がきつくダブルデッカーバスの事故を誘発するとされる7つのルートについて、所管大臣である運輸大臣がダブルデッカーバスの通行禁止を命じ、それに抗議するデモが行われたとのことであった。

 対象は日本でいうところの貸切(観光)バスだけではなく、都市間を結ぶなどする路線バスも含まれている。2025年3月にタイ国内でダブルデッカーバス横転による交通事故で多数の死者が出たことにより、この命令が発せられたようである。

 この措置により、ダブルデッカーバス事業者は禁止ルートを避けて迂回運行することとなり、余分に燃料費を負担することになったり、利用者の減少も招いているという。それゆえ運行事業者も今回の抗議活動に至ったようである。

 タイに限らず、東南アジア各国の貸切や都市間を結ぶ長距離バスなどでは、日本での昭和のころの「トラック野郎」を思い起こすようなにぎやかな外装が名物となっている。バンコク市やその近郊をタクシーなどで移動していれば、輸送効率も考えているのか長距離路線バスは多くがダブルデッカータイプとなっているようで、よくダブルデッカーバスに遭遇することがあった。

 多数の犠牲者を出した事故が発生したのだから、当然世論を意識しなければならない。管轄官庁が事故防止策として指定した同様の事故が発生する可能性の高いルートでのダブルデッカーバス走行禁止を命じることは、政府が早急に対策を講じているという世論へ向けたメッセージ効果も高いだろう。

 ただ事業者からすれば、燃料費が世界的に高値安定化しているなか、運行事業者としては輸送効率の高いダブルデッカーバスを導入するのは自然な流れにも見える。事業者側からすれば「ダブルデッカーというだけで事故リスクが高いというのはおかしい」となるし、客観的ファクトに基づいて命令が出たかも定かではない。

 これを機に、単なる事故防止だけではなく運行管理全体にメスを入れようとしているような報道も見受けられるが、利用者としてはとにかく安心安全に目的地に到着することができる体制づくりを望むばかりである。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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2019年式トヨタ・カローラ セダン S
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乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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