この記事をまとめると
■クルマの定期交換部品でもっとも身近な存在といえるのがエンジンオイルだ
■国産車ならメーカー純正オイルを選んでおけば間違いはない
■欧州車用のオイルと国産車用のオイルではエンジンオイルの規格が異なる
車種専用や輸入車専用って何が違う?
一番身近な定期交換部品であるエンジンオイル。エンジンのストレスを吸収できる唯一の消耗品でもあるので、オイル選びに一家言をもっているクルマ好きも多いはず。
それゆえにオイル選びに迷っている人もいるようだが、オイル選びの要諦は、最善のオイルに出会うことではなく、ハズレのオイル、間違ったオイルを選ばないことに尽きる。そういう意味では、国産車ならメーカー純正オイルを選んでおけば、少なくとも間違いはない。
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一方、輸入車の場合はどうなのか。輸入車だと、メーカー純正という形ではなく、メーカー認証(承認)オイルが設定されている。輸入車専用オイルとか、欧州車専用オイルなどともいわれることがあるが、これらのオイルはほかのオイルと何が違うのか。
欧州車用のオイルと、国産車用のオイルの一番の違いは、エンジンオイルの規格の違い。
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日本のカー用品店やディーラーで見かけるオイルは、API(アメリカ石油協会)規格やILSAC(国際潤滑油規格諮問委員会)規格で、SN/GF-5、SP/GF-6といった表記でグレードわけがなされている。
それに対し、欧州車はACEA(欧州自動車工業会)の規格のオイルが指定されている。ACEA規格のオイルの運用が始まったのは、1996年からなので、まだ馴染みのない規格かもしれないが、エンジンの保護性能や環境対応性を重視しているのが特徴。酸化安定性や油膜保持能力を高めて、ロングライフ性能に優れているものが多い。
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アウディなどは、最長2年または3万kmと、非常に長いオイル交換インターバルを実現しているが、これもメーカーの要求するオイル性能を満たしたオイルであることが大前提。メーカー指定の交換インターバルを守るためには、取扱説明書に記されている「ACEAの○〇カテゴリーオイル 粘度〇W○○」といったもの以外、使わないほうがいい。
一方、国産車用でもスポーツカーなどには、車種専用オイルのなども発売されている。
GT-R専用、ロータリーエンジン専用、水平対向エンジン(スバル)専用といったオイルがそれだ。これらは、基本的にメーカー純正オイルより、そのエンジンと相性がいいのは間違いないだろう。あとは使い方次第。エンジンオイル、とくに粘度は油温次第で要求性能が変わってくる。街乗りメインで、法定速度の範囲でしか走らない人ならば、高価な車種別オイルは不要で、メーカー純正オイルで十分。
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一方、サーキットなどで高負荷・高回転で走るという人は、その油温に合った高粘度のオイルをチョイスしたり、そもそも油温が上がりにくいオイルを選ぶ必要があるので、そういう意味では、車種専用オイルのメリットが生きてくるはず。
また、車種専用オイルだと、通常の4リットル缶ではなく、そのエンジンのオイル容量に合わせた、4.5リットル缶などがあるのもありがたいところ。
まとめると、各種センサーでエンジンオイルの劣化具合をモニタリングして、オイル交換時期を警告灯などで知らせるような欧州車は、メーカー認証のACEA規格のオイルを入れるのがベストで、国産車の車種専用オイルは、そこに費用対効果、あるいは価値観を見いだせる人だけがチョイスすればいい代物だ。