この記事をまとめると
■マツダにはロードスターとロータリーエンジンというふたつのアイデンティティがある
■かつてロードスターをベースにロータリエンジンを搭載したコンセプトカーが製作された
■コスモ21は名車コスモスポーツを現代的に解釈した外観が与えられていた
ロードスターとロータリーエンジンというふたつのアイコンを融合
マツダのアイデンティティは複数存在しているが、そのなかでも多くのユーザーに支持されているのが、オープンエアモータリングを楽しむことができるロードスターと、現代の自動車メーカーのなかでは唯一マツダだけが実用化にこぎ着けたロータリーエンジンではないだろうか。
残念ながらマツダからはこのふたつを同時に楽しむことができるモデルはリリースされていないが、過去に存在していたマツダスピードが、このふたつの要素を掛け合わせ、往年の名車である「コスモスポーツ」を現代に蘇らせた「コスモ21」なるモデルを作り上げていたのだ。
マツダ・コスモ21のフロントスタイリング画像はこちら
このコスモ21は、2002年に開催された東京オートサロンにコンセプトモデルとして出展されたもので、ベースとなっているのは当時現行モデルだった2代目ロードスター。
そこにコスモスポーツを彷彿とさせるレンズカバー付きのヘッドライトや上下2分割のテールランプ、クラシカルなフェンダーミラーなどを与え、ひと目でコスモスポーツの現代版であることがわかるデザインが与えられていた。
マツダ・コスモ21のリヤスタイリング画像はこちら
ベースはオープン2シーターモデルのロードスターであるが、本家コスモスポーツはクーペモデルということで、コスモ21もクーペに仕立て直されていたが、リヤウインドウの形状などを見るに、ロードスター用のハードトップをベースにしているように見えた。
一方のインテリアはシルバーをベースとした未来的なカラーリングを採用し、宇宙を意味するコスモにピッタリの雰囲気とし、シートにはオリジナルのコスモスポーツにも採用されていた千鳥格子柄の表皮が与えられていた。
マツダ・コスモ21のインテリア画像はこちら
その一方でダッシュボードやセンターコンソールはベースのロードスターとほぼ同一の形状を保っており、ロードスターオーナーが見れば一発でベース車が判別できるものとなっている。
そんなロードスターベースのコスモ21だが、心臓部にはロードスターの直列4気筒エンジンではなく、しっかりとロータリーエンジンを搭載。このロータリーエンジンは前年の東京モーターショーで発表されたRX-8に搭載されるとアナウンスされていた、250馬力を発生させるNAロータリーエンジンのRENESISとされていた。
マツダのロータリーエンジンのRENESIS画像はこちら
このコスモ21、当時は反響次第で市販化の可能性もあるとされていたが、残念ながら実際に販売されることはなく、ロードスター×ロータリーエンジンの組み合わせもメーカー謹製のモデルとしては実現していない。
ただ、このエクステリアデザインは非常に優れたものだったので、ボディキットとして販売されていたら一定の人気を得ることができたのではないかと思うと残念だ。