この記事をまとめると
■eビターラはスズキ初のBEVだ
■他社がやっていないような要素を多く取り込んだ意欲作
■軽自動車を得意とするスズキではあまりやってこなかった手法を多く取り入れている
eビターラのデザインを大解剖
2024年11月にイタリア・ミラノで世界初公開されたeビターラ。スズキ初のBEVとして、いよいよ日本仕様のプロトタイプがメディアに公開されました。今回はその新しいデザインに迫るべく、エクステリアとインテリアを担当したデザイナー2名に直撃インタビューを行いました!
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●BEVの後発組として独自性を模索する
──では、まず新型のデザインコンセプトである「Hi-Tech & Adventure」の意図について教えてください
「BEVではシンプルクリーンなイメージのデザインがメインストリームではありますが、スズキとしては、他社と同じことをやっても埋没してしまいます。そこで、グローバルに定着しているジムニーやビターラの強いSUVのイメージを投入しようと。また、最近は高い機能性をもったアウトドアファッションが流行しているので、Hi-Tech&Adventureはそうした世界観に注目したものです」
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──スズキ初のBEVとしてパッケージはどのように考えましたか?
「BセグのSUVとして、電池容量や重量、タイヤサイズや5人乗りといった要件から2700mmというロングホイールベースを導き、タイヤを四隅に置いたスタンスのよさを実現しています。また、一般的にBEVといえば流麗さや空力を意識したスタイルが多く見られますが、eビターラではあえて「逆張り」としてAピラーを立て、可能な限りキャビンを薄くしながらも頭上空間を含めた居住性や視界のよさを狙っています」
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──立体感のある重層的なスタイルが特徴的ですが、フロントではエンブレムを中心とした広い面がユニークですね
「BEVではエンジンの存在を感じさせないグリルレスの顔がセオリーになっていますが、それではなにか物足りない。そこで、大きな開口がなくてもフェイスまわりに注目を集める造形として、六角形をモチーフとした広い面を設けました。この六角形はリヤパネルを含めボディ全体の骨格作りに反映されていて、堅牢感や安定感に繋がっているんです」
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──ヘッドライトも立体的でユニークな形状ですね
「はい。私たちは『スリーポイントマトリックス』と呼んでいますが、立体的なフロントフェイスに馴染むように、3つのブロックを3次元的に配置しました。最近は技術的に薄く小さいランプが可能ですが、やはり『目』として感情を表現できる形状にしたかった。ここもBEVとしては『逆張り』でしょうか(笑)」
──ボディサイドでは、前後フェンダーの大きなカタマリが大きな特徴になっていますね
「私たちは『3ボリューム』と呼んでいますが、じつはこれ、先代のスイフトで成功した手法で、限られたサイズを最大限に利用できるワザです。フロントフェンダーはフードを含めたダイナミックでシンプルな造形で、リヤも基本的には反復させた形状です。その間のドア面は、下半身の樹脂ガーニッシュを高い位置まで上げることで薄く見せ、ピークラインの高さを吟味して映り込みの美しさを狙っています」
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──リヤビューはフロント以上に広い面がユニークで、横一文字のテールランプはフロントバンパーを想起させる雰囲気ですね
「先のとおり、新型は当初から六角形をテーマとしましたが、リヤもそれをどう生かせばいいのかを考えたものですね。当初案から大きな修正はありませんでした。テールランプは流行の横一文字をベースとしながら『スリーポイントマトリックス』を反復させています」
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