この記事をまとめると ■スーパー耐久の「走る実験室」と呼ばれるST-Qクラスの各開発車両に注目
■タイムを比較すると他クラスと同等以上のパフォーマンスを発揮していることがわかる
■自由な開発環境と継続的なアップデートによる今後の進化にも期待だ
カーボンニュートラルに向けた次世代マシンの実力とは? ST-5クラスが駆動方式に合わせてST-5FクラスおよびST-5Rクラスに細分化されたことで、10クラスで争われている2025年のスーパー耐久シリーズ。なかでも、ほかのクラスに該当しない開発車両を対象とするST-Qクラスには、トヨタ、ホンダ、スバル、マツダの主要チームが開発モデルを投入。いずれも「走る実験室」としてカーボンニュートラルの実現に向けた次世代車両が投入されていることから、国内のみならず海外でも注目を集めるクラスとなっているのだが、ST-Qクラスの各モデルは、どのぐらいのパフォーマンスとなっているのか?
というわけで、ここでは全クラスが集結した第3戦「富士24時間レース」の予選タイム、とりわけBドライバーのタイムをほかのクラスと比較しながら、ST-Qクラスの各モデルのスピードをクローズアップしたい。
まずはTOYOTA GAZOO ROOKIE Racingの32号車「TGRR GR Corolla H2 concept」からチェックしていこう。同モデルは文字どおり水素エンジンを搭載したレーシングカーで、次世代の環境対応モデルとしてST-Qクラスのアイコン的な存在として定着している。
TGRR GR Corolla H2 concept 画像はこちら
そんな水素カローラの予選タイムは1分59秒025(佐々木雅弘選手)で、ST-4クラスに参戦するTEAM NOPROの37号車「DXLパワーミネラスEVO☆NOPRO☆NCロードスター」がマークした1分58秒444(大谷飛雄選手)に次ぐタイムをマーク。
つまり、32号車「TGRR GR Corolla H2 concept」のパフォーマンスは、ST-5Fクラス/ST-5Rクラスを凌駕し、ST-4クラスに肉薄するレベルといった状況だが、2021年のデビュー当時と比べると、水素カローラはラップタイムのほか、給水素の時間も大幅に短縮するなど着実に進化を果たしているだけに、さらなる飛躍が期待されている。
また、TOYOTA GAZOO ROOKIE Racingが投入する28号車「TGRR GR86 Future FR concept」も低炭素ガソリンを使用したモデルで、カーボンニュートラル対応モデルとして注目を集めるなか、富士24時間レースの予選では1分50秒578(坪井翔選手)をマークしている。
TGRR GR86 Future FR concept 画像はこちら
このタイムはST-2クラスに挑むシンリョウレーシングチームの6号車「新領オートDXL☆ネオグローブEVO X」がマークした1分50秒412(菊地靖選手)に次ぐタイムで、ST-3クラスを凌駕していたことも大きな特徴といえるだろう。