そういやあんまり聞かなくなったな……「とおりゃんせ」「故郷の空」などのメロディが流れる信号機が減ったワケ (1/2ページ)

この記事をまとめると

■横断歩道上での交通事故で命を落とす人もいる

■視覚障害者の人たちも安心して使えるよう「音響信号機」が1960年代から導入されている

■「音響信号機」にはボタンの位置がわからないという意見や騒音などの課題が残されている

音響信号機が抱える問題

 誰もが安全に道路を横断するためにあるはずの「横断歩道」で、事故に遭い命を落とす人や負傷する人が後を経ちません。最新の警視庁による統計となる令和7年上半期では、横断歩道での事故件数は894件にのぼり、そのうち6名が命を落としていることがわかります。

 そんな横断歩道では、視覚に障がいをもつ方々が安心して渡ることができるよう、青信号の間にメロディを流す「視覚障害者用付加装置」、現在でいう「音響信号機」が1960年代から導入されていました。「とおりゃんせ」や「夕焼け小焼け」などのメロディが鳴る横断歩道を記憶している人も多いのではないでしょうか。

 メロディ式のほかに「カッコー」や「ピヨピヨ」といった擬音が鳴る擬音式も採用されており、交通安全に有効だという全日本交通安全協会などからの推奨もあって全国に広まったといいます。

 ただ、さまざまな方式や音がバラバラに採用されるなか、実際の利用者からは「統一してほしい」という声が届くようになり、昭和50年に学識経験者や視覚障害者団体、警察庁、厚生省等からなる委員会を設置して検討が行われ、同時にアンケート調査を実施した結果、「とおりゃんせ」と「故郷の空」ふたつのメロディ方式と、「カッコー」「ピヨピヨ」のふたつの擬音式が選定されています。

 こうした音響信号機は令和6年3月現在で、全国に2万1236基が設置されており、そのうちメロディ式が264基、擬音式が2万972基と、約99%が擬音式となっています。なぜ、メロディ式はこんなに少なくなっているのでしょうか。


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まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
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松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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