この記事をまとめると
■トンネル内はヘッドライトが不要なほど明るい
■主にカウンタービーム方式とプロビーム照明方式が採用されている
■照明器具自体も最近ではLEDが広く採用され省電力・高寿命となっている
トンネル内の照明はただ照らしてるだけじゃなかった
夜間の走行中、道路際を明るく照らす道路照明の存在に気付いたことがあるだろうか。当たり前だが、真っ暗になる夜間は、なにか照明がないとまったく見えないことになる。これが道路であれば、自車の前方に広がる道路上の状態が確認(見えない)できないということになる。そのために、クルマにはヘッドライトが装備されているわけだが、ヘッドライトによる前方照射では、自車前方の道路上を確認するのが精一杯で、広範に前方を照らしてくれるわけではない。
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ところが、道路の付帯設備が充実した自動車専用道路、たとえば高速道路などでは、道路際に一定の間隔で照明灯が設けられ、道路周辺も照らしてくれるため、周囲の状況がよくわかり、夜間走行の疲労が軽減されるとともに、安全性が大きく引き上げられている。
こう考えてみると、自動車にとって照明が必要な状況は、なにも夜間走行だけに限った話ではない。山間部や海底など、人工的に作られた通り道「トンネル」も同様である。外光が遮られる構造のため、昼間でもトンネル内を照らす照明が必要となってくる。トンネル内部が明るく照らされていることで、法規上点灯しなければならないが、ヘッドライトを使わなくても走ることができるほどだ。
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さて、このトンネル内の照明だが、その目的や効果によっていくつかの照明方式が用意されていることをご存じだろうか? トンネル内の照明は、単にトンネル内を明るく照らすだけの働きではないのである。トンネル内の照明灯を、基本から考えてみることにしよう。
まず、トンネル内に取り付けられた照明灯の位置からだが、トンネル天井面、走る車両の真上と考えてよい。これが、たとえば側壁などに取り付けられたらどんな照明効果になるかは想像に難くない。常識的に、直上からの配光がもっとも見やすく効果的な照明方法であることが理解できる。
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ところが、天井の取り付けられた照明灯だが、照射光の方向がいくつかにわけられていることはあまり知られていない。家屋の照明(間接照明は除く、直接照明のみ)の場合、一般的に天井に取り付けられ照明器具の照射の場合、照射の方向性は無指向性、全方向に向かって光が照射されている。このため、室内のどの箇所もむらなく均等の明るさで照らされ、人の目が室内の様子を違和感なく見ることができるようになっている。
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トンネル内の照明も同じで、まんべんなく配光する方法があり、これは対象照明方式と呼ばれている。照射光がトンネル内に均等に届くため、ドライバーの目からは自然な感じでトンネル内の状況(先行車、後続車も含め)を確認することができるようになっている。
この方式に対し、走行車両に向かって照射光を当てる方式がある。カウンタービーム照明方式と呼ばれ、自車に向かって光が照射されたため、先行車の背後は陰となって暗くなる照明方式だ。なぜ先行車の背面が暗くなるような照明方式が採られているのかといえば、光が当たっている路面と先行車の背後に明るさの違い(輝度の対比)が生じるため、そのコントラストによって前方の状車の存在が確認しやすいという特徴をもち、交通量の少ないトンネルの入口で採用されている例が多い。
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