この記事をまとめると
■クルマに使われているパーツは全部を自社では賄っていない
■サスペンションやガラスやスイッチなど多岐に渡るパーツが外注だ
■完成車メーカーと呼ぶかどうかの指標のひとつにボディ製造の有無がある
クルマは細かいパーツの集合体だ
自動車のエンジニア、とくに開発プロジェクトを率いるリーダーのインタビューなどを目にすると、本当に小さな部品まで目が行き届いていることに驚いてしまう。「神は細部に宿る」という言葉もあるが、ディテールアップこそが自動車の完成度を上げると感じることは多い。
ならば、自動車を構成するすべての部品を、いわゆる自動車メーカー(完成車メーカーとも呼ばれる)が作っているのかといえば、そうでないことは自明だ。
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代表的なところでいえば、クルマを支えるタイヤを製造している自動車メーカーは聞いたことがない。ただ、専用タイヤを履いているクルマは多いし、二輪でいえばハーレーダビッドソンのように自社の名前を冠したタイヤを標準装着しているケースもある。
しかし、四輪において標準装着されているタイヤには、タイヤメーカーのブランド名や商品名が刻まれている。スポーティカーやラグジュアリーセダンなど、クルマのキャラクターにあわせたタイヤブランドが組み合わされているように、タイヤのブランド力は独立している。タイヤについて自動車メーカーが一定の知見をもっていることは事実だが、製造設備をもっていることはない。
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同じようなことはサスペンションでもいえる。ショックアブソーバやダンパーと呼ばれる部品をみれば、製造しているメーカーの刻印を確認することができる。ボンネットやテールゲートを支えるダンパーであれば、すぐに確認できるだろう。ガラスについても同様で、その多くに自動車メーカーではない専業メーカーのマークが入っているはずだ。
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パワートレインも、必ずしも自動車メーカーが作っているとは限らない。
HEVやBEVには欠かせないバッテリーについて、バッテリーのパック化を内製している自動車メーカーは珍しくないが、バッテリーそのものを作っている国産メーカーは皆無。もっとも、BYDのようにバッテリー製造がルーツという企業もあるので、新しい完成車メーカーにおいてはバッテリー内製というケースも増えてくるかもしれない。
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ただし、エンジンについてはほとんどの自動車メーカーが内製している。日産キャラバンが三菱自動車のクリーンディーゼルを積んでいるようなアライアンスを活用して融通しあうケースもあるが、いずれにしてもエンジンを製造しているのは自動車メーカー(と関連子会社)であることがほとんどだ。
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