この記事をまとめると
■10月17〜19日に全日本ラリー選手権・第8戦が岐阜県高山市を舞台に開催された
■JN-3クラス王者とJN-4クラス王者にFRとFFはどちらが速いのかを聞いた
■ドライの中高速コーナーではFRモデルが有利でウエットやグラベルなどではFFが有利だ
クルマ好きなら誰しもが一度は考えたことがある疑問
全日本ラリー選手権・第8戦「第52回 M.C.S.C.ラリーハイランドマスターズ」が10月17〜19日、岐阜県高山市を舞台に開催された。JN-1クラスではヘイッキ・コバライネン選手、新井大輝選手、勝田範彦選手、奴田原文雄選手による激しいタイトル争いが展開され、コバライネン選手がチャンピオンに輝いたのだが、それ以上に注目を集めていたのが、JN-2クラスのタイトル争いだといえるだろう。
同クラスでは山田啓介選手、大竹直生選手、貝原聖也選手ら若手ドライバーが激しいタイトル争いを展開。最終的に山田選手がチャンピオンに輝いたが、JN-2クラスではタイトル争いを展開したこの3名に加えて、三枝聖弥選手や小泉敏志選手など、次世代の若手有望株が着実に頭角を表しつつあるだけに、2026年も彼らヤングタイガーがトップ争いを左右するに違いない。
JN-1クラスでチャンピオンに輝いたコバライネン選手画像はこちら
ところで、2026年の全日本ラリー選手権は、クラス区分が変更される予定だが、その最大のポイントとなるのが、1500〜2500cc以下の車両で争われるJN-4クラスだ。
これまで1500〜2500cc以下のクラスは、トヨタGR86やスバルBRZなどの後輪駆動車を対象とするJN-3クラスとスズキ・スイフトなどの前輪駆動車を対象とするJN-4クラスにわけられていたのだが、2026年の新JN-4クラスでは駆動方式の条件を撤廃したことにより、旧JN-3クラスと旧JN-4クラスが統合されることになった。
駆動方式の条件を撤廃された新JN-4クラス画像はこちら
果たして、ラリー競技ではトヨタGR86やスバルBRZなどの後輪駆動車とスズキ・スイフトなどの前輪駆動車では、どちらに分があるのか? 2018年まで前輪駆動モデルと後輪駆動モデルは同一クラスで争われていたが、現行モデルではパフォーマンス的にどのような違いがあるのだろうか?
というわけで、ここではトヨタGR86を武器にJN-3クラスでチャンピオンに輝いた山本悠太選手とスズキ・スイフトを武器にJN-4クラスでチャンピオンに輝いた高橋悟志選手を直撃。両ドライバーの見解を聞いた上で、新JN-4クラスの勢力争いの構図を占いたい。
JN-3クラスチャンピオンの山本悠太選手とJN-4クラスチャンピオンの高橋悟志選手画像はこちら
まず、FRモデルの武器について、「FRはターマックでの回頭性がいいですし、GR86になってからはエンジン排気量が2400ccに上がっているのでストレートスピードもよくなりました。そのあたりを活かせると、下りだけでなく上りでもタイムを出せると思います」と語るのが、FRマイスターの山本選手だ。
その一方でFRモデルの弱点について、「ウエットになってくると、トラクション性能が厳しいです。グラベルでもラリー北海道のようなハイスピードステージならFRでも十分に戦えるんですけど、2速や3速を多用する中低速のステージは苦手な部分だと思います」と語る。
JN-3クラスチャンピオンの山本悠太選手画像はこちら
そのうえで、「以前(注:2018年より前)、JN-4クラスとしてFFとFRが同じクラスで戦っていたんですけど、そのときはグラベル戦が多かったし、雨も多かったので分が悪い部分はありました。それでも2000ccのトヨタ86で、ターボ搭載のスズキ・スイフトと対等には戦えていた。いまのGR86はそのときよりもエンジン排気量が上がっていますし、グラベルも2戦しかないので、シーズンを通してみればFRが有利だと思います」と山本選手は分析する。
JN-3クラスチャンピオンの山本悠太選手が駆るトヨタGR86画像はこちら