この記事をまとめると
■トヨタのル・マンマシン「TS020」はかつてWECで大暴れし現在でも人気が高い
■1999年のル・マンでは日本人クルーとともに2位に入る奮闘を見せた
■F1参戦前夜のTTEが挑んだル・マン・プロジェクトの歴史を遡る
世界耐久でも頂点を争い続けたトヨタ
2025年シーズンのモータースポーツもいよいよ大詰め。いうまでもなく世界選手権がかけられたF1、WEC、WRCの3シリーズがモーターレーシングの頂点に位置するわけだが、振り返ると1980年代から日本車(日本メーカー)の台頭が著しくなってきた。
この3シリーズ、本来の冠タイトルの意義は、F1がドライバー、WECとWRCが製造メーカーにあった。もちろん、F1にはコンストラクター、WECにはドライバー、WRCにはドライバー/ナビゲーターの世界タイトルもかけられているが、本来的には先に触れたようにF1はドライバー世界一決定戦、WECとWRCは製造メーカー世界一決定戦として歴史的に推移してきたのだ。
このなかで、製造メーカーの技術力が問われるのがWECとWRCで、この両カテゴリーで輝かしい戦績を残してきた日本メーカーがある。トヨタである。トヨタは、WEC(正確にいえばスポーツカーによる世界選手権で開始は1953年。1993年でいったん中止になるが2012年に再開)とWRC(1973年から開始)で活躍。WECはハイブリッド時代となった2012年から昨2024年の間に7度、WRCは8度の世界タイトルを獲得している。歴史的に見ても、押しも押されもせぬ世界最強のメーカーのひとつ、と断言できる存在だ。
WRCでタイトルを獲得したトヨタ・セリカ画像はこちら
また、スポーツカー耐久レースでは、世界最高峰に位置づけられるル・マン24時間で2018年から2022年まで5連覇。圧倒的な強さを見せていた。そのル・マン24時間に今年はトヨタのル・マン参戦40周年(初回は1985年、トムス85C-L)にあたる年として、GR010の1台を1998年に参戦したTS020の赤/白でカラーリング。当時を知るレースファン、ル・マン・ファンにとって、思い出深い出で立ちでの登場となった。
TS020の1998年カラーに塗装されたGR010画像はこちら
このTS020、1999年には日本人クルー(片山右京、鈴木利男、土屋圭市)が最終盤までBMW V12 LMRと激しく争い、惜しくも僅差の2位でゴールした経緯をもっている。ちなみにこのTS020、どう見てもレーシングプロトタイプそのものなのだが、当時のカテゴリーではLM GT1で、TS020の正式名称もTS020 GT-oneだった。
1999年のル・マン24時間レースでのトヨタTS020画像はこちら