この記事をまとめると
■NISMOがR35GT-RとオーラNISMOをチューニング
■販売から10年以上経過したGT-RをCRS仕様にリフレッシュした
■オーラNISMOは4WDモデルをベースにコンピュータ系のセッティングを変更した
中期型のR35をNISMOが最新スペックに引き上げる
「TRD」「STI」「MUGEN」「NISMO」の4社が、それぞれ自慢のコンプリートカーをもち込んだ「ワークスチューン試乗会」。
今回NISMOが用意したのは、R35 GT-RとオーラNISMOだ。
GT-Rは、2013年モデルをベースに、サーキットでのスポーツ走行を楽しみ、自走で帰宅できるクルマとして開発されたクラブマン・レース・スペック(CRS)。これに、サスペンションバージョンアップキット「T-Spec仕様」を装着した、いわばNEW CRSバージョンといえる仕様となっている。
日産 GT-R CRS仕様画像はこちら
加えてエンジンもS1エンジン(試作)を搭載している。GT3仕様カムシャフトを専用ECMでセットアップする。
エアロパーツは、これこそCRSの真骨頂ともいえるものだが、ベースの設計をGT500空力エンジニアが担当し、日産自動車のGT-Rデザインチームが監修。ダウンフォース増加に伴うハンドリング性能の向上も実現しているという自慢の逸品だ。
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まず走らせてまず驚かされるのが、足まわりのしなやかさだ。Rモードでも、突っ張るような硬さがなく足まわりがよく動き、路面にしっかり追従してくれる。だからタイトなコースレイアウトでも路面をとらえてビックリするくらいスルリと曲がってくれる。
コンフォートモードにするとサスの動きはさらにしなやかで滑らかになるが、コーナーを攻めるにはややソフト、ウエット路面だと抜群のロードホールディング性を見せてくれそうだ。
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エンジンは、GT3仕様カムによる正確な効果はわからないが、日産系のチューニング用ハイカムのカム角でいうと、オーバラップゼロの264度くらいの印象。吸気流量制限のかかるGT3は、高回転よりも中回転域を中心にトルクの厚みやピックアップのよさに重点を置いているはずで、ECMを含めこのGT3用カムもそんな味付けになっているのではないだろうか。
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とにかく速くて迫力があるのは間違いない。豪快大迫力のパワー&トルクは前255/40ZR20、後285/35ZR20のタイヤをスライド状態に持ち込むのもそれほど難しくない。限界域のコントロール性も良好だ。R35の4WD制御は、最初リヤ寄りに駆動しているが、過大な駆動トルクがかかるとわりと早めに前輪に駆動トルクが配分される。最終的には体感40対60くらいのバランスになるイメージなので、軽いカウンターでバランスする。
日産のHPを覗くとすでにR35GT-Rは消えており、改めて18年の歴史にピリオドが打たれたことを実感するが、このキットを装着すれば最終型GT-Rの洗練された走りが、初期型でもリアルに楽しめる。
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NISMOによればT-Spec仕様のほかにNISMO仕様として速さを軸足に置いたバージョンも設定予定というから、これからGT-Rのオーバーホールを兼ねたリフレッシュを考えているユーザーにはさらに楽しい展開が待っていそうだ。