この記事をまとめると
■国産車は在庫減や納期遅延で年末増販が難しく軽でも年内納車が厳しい状況
■輸入車は在庫販売が原則で本社決算月の12月に向けて超低金利ローンなどの施策が強まる
■事業年度末の3月まで輸入車の買い得期が続き低金利活用が支払総額抑制の鍵となっている
国産車は在庫減と納期遅延が未だ深刻
12月というタイミングになると、コロナ禍直前のころならば、各ディーラーが管理している在庫車を中心に「年末セール」が展開され、とくに新規届け出に登録車より時間を要しない軽自動車では年内ギリギリまで最後の増販セールとして販売促進活動が行われていた。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大となり、そのあと半導体を中心とした部品供給の混乱による世界的な新車の納期遅延の発生を経ると、ディーラーで実車を在庫としてストックするということもほぼなくなり、さらに働き方改革などにより車両搬送や納車準備に時間がかかるようにもなり、登録車では順調に進んでも納車まで3カ月ほどが必要となっている。ここ最近では軽自動車でも、12月前に契約したとしても2025年内に納車が間に合うかはかなり厳しい状況にあるといっていいだろう。
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そんななか、年末に向かって元気いっぱいなのが輸入車となる。その理由としては、各ブランドのヘッドクォーター(本社)の決算月が12月となっていることが大きい。輸入車は日系ブランド車とは異なり、在庫販売が原則となっている。日本からリクエストは出せるものの、詳細な仕様に基づく個別発注は原則できず、原産地で日本で売れやすい(売りたい)仕様+αの完成車が自動車運搬船に載せられ日本で陸揚げされる。
運搬船に載った時点で在庫扱いになるのも一般的なようで、すでに陸揚げされている車種と合わせて在庫車となる。そのため、現状では納期がかかり気味の日系ブランドと比べると納期はいたって短めとなっている。基本的に抱えた在庫車を販売するので、輸入車は本社の決算月となる12月がじつはかなり買い得となっているのである。しかも、多くのブランドで日本でもディーラーローンの金利が日系ブランドでは上昇傾向にあるなか、0.9や1.9、2.9%という超低金利ローンキャンペーンが積極展開されている。
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いまどきはサラリーマンでも輸入車に乗ることは珍しくなく、輸入車でもディーラーローンを利用しての新車購入が目立っている。単純に値引きを拡大させて支払総額を抑えると再販価値を下げかねないので、「ローン利用が多いのだから」と、再販価値の下落には直接つながらない超低金利として支払総額の圧縮をはかろうとしているのである。だからといって値引きがまったくないというわけではなく、値引きも再販価値を下げない程度は十分期待することができる。