この記事をまとめると
■絶版ホンダの部品不足という長年の課題にメーカーが正式対応
■純正復刻部品と本格レストアを柱とした包括的サービスを開始
■初代NSXを皮切りに価値維持と継承を目指す取り組みとなる
絶版ホンダを未来へつなぐ新制度
ホンダのスポーツモデルは、いまなおクルマ好きの心を惹きつけてやまない。シビックタイプRやプレリュードのような現行モデルももちろんだが、過去のモデルについても同様だ。軒並み新車価格以上のプライスタグが掲げられる旧型シビックタイプやNSXなどの中古車相場を見ても、それは明らかだろう。
絶版車種の維持というものには、さまざまな困難がつきまとうのはご存じのとおり。しかもホンダのタイプR系のようなスパルタンなスポーツモデルとなれば、当然ハードにシゴかれてきた個体も多く、各部品の消耗も激しい。だが、そんな消耗部品でも純正パーツが供給されているとも限らない。コアなホンダ・マニアは手に入らないパーツを「ゴソウダンブヒン」なんて呼んだりするが、メーカー側も慈善事業をしているわけではないので、それはある種仕方ないことでもある。
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しかしながら、そこにホンダが朗報をもたらしてくれた。旧型スポーツモデルのオーナーを支援する新たなヘリテージサービス「Honda Heritage Works(ホンダ ヘリテージ ワークス)」を2026年4月1日から開始すると発表したのだ。これは、販売終了となった部品の復刻供給と本格的なレストアサービスの提供を目的とした包括的な取り組みである。
Honda Heritage Worksは、ふたつの主要な柱から構成されている。ひとつは、販売終了後に供給が困難になった部品を、新たに純正互換部品や純正復刻部品として再生産・供給する「Honda Heritage Parts(ホンダ ヘリテージ パーツ)」である。この部品はグローバルで供給され、全国のディーラーを通じてオーダーできる体制を整える予定だ。
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もうひとつは、旧型車両を可能な限り当時の性能や質感に近づける「Honda Restoration Service(ホンダ レストレーション サービス)」だ。これは過去に提供されていた「NSXリフレッシュプラン」を発展させたものであり、初代NSXを対象に本格的なレストアを行うサービスとなる。
サービスは「基本レストア」と「トータルレストア」の2種類が用意され、エンジン・サスペンションの交換・点検に加え、外装・内装の施工にも対応する。施工は初代NSX誕生の地である栃木県高根沢の専門施設「Honda ヘリテージ ワークス高根沢」で行われ、2026年4月より受け付けと施工が開始される予定だ。
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申し込みや価格の詳細は、2026年1月上旬に公式サイトで案内されるとアナウンスされている。価格については決して安くはないだろうが、それだけの価値がある内容といえるだろう。
なお、Honda Heritage Partsについては、公式サイト上で一般ユーザーから部品復刻リクエストを受け付けている。実際にアクセスしてみると、復刻を希望する部品を5つまで希望理由とともに申請できるようになっていた。オーナーならば、ぜひともこの機に希望を伝えてほしい。
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旧型スポーツモデルを長く大切に乗り続けたいユーザーにとって魅力的な支援策となるだけでなく、純正部品供給の長期化やレストアによる車両価値の維持につながる取り組みとなるHonda Heritage Worksの続報を期待したい。