兄弟なのになんで大差がつく? 基本中身は一緒の「兄弟車」の売れ行きが大きく違うワケ

この記事をまとめると

■クルマには中身は同じなのに外観や車名が異なる「姉妹車」が存在する

■アルファードとヴェルファイアは見た目だけでなく性能面でも差がつけられている

■姉妹車の売れ行きはメーカーや車種の性格に応じて大きく異なる

姉妹車の売れ行きと人気は比例しない

 基本的には同じクルマなのに、車名の異なる「姉妹車」がある。まずコンパクトSUVのダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズは、基本的に同じクルマだが、取り扱うメーカーが異なる。開発や製造を行うダイハツではロッキーの車名で販売して、ダイハツから供給を受けるトヨタ版はライズになる。

 アルファード&ヴェルファイア、ノア&ヴォクシーは、両方ともトヨタ車だ。以前のトヨタでは、販売系列によって取り扱い車種が異なり(複数の系列が併売する車種もあったが)、アルファードはトヨペット店、ヴェルファイアはネッツ店が販売した。ノア&ヴォクシーも同様で、ノアはカローラ店、ヴォクシーはネッツ店が扱った。

 ただし、トヨタは2020年に全店が全車を扱う販売体制に移行した。そのためにルーミー&タンクの姉妹車はルーミーに統合され、ハイエース&レジアスエースもハイエースのみになった。

 それなのにアルファード&ヴェルファイアとノア&ヴォクシーが残っているのは、この姉妹車を合計すると登録台数が膨大になり、1車種だけではすべてのユーザーに対応できないと判断したからだ

 そこでヴェルファイアは、フロントマスクをアルファードよりもスポーティに仕上げた。アルファードが採用しないパフォーマンスブレースも装着して、ボディ剛性を高めた。サスペンションの設定も異なり、運転感覚は少し機敏だ。パワーユニットも、アルファードとは異なり直列4気筒2.4リッターガソリンターボを選べる。ヴェルファイアは装備も充実して価格は高めだ。

 つまり、広くて快適なLサイズミニバンの王道を行く車種はアルファードで、ヴェルファイアは基本的に同じクルマでもスポーティな個性派に位置付けられる。そのために、2025年(1〜11月)の1か月平均登録台数も、アルファードは約7400台で、ヴェルファイアは約2800台と少ない。ヴェルファイアの登録台数は、アルファードの約40%に留まる。

 それならノア&ヴォクシーはどうか。外観はノアが標準的で、ヴォクシーはフロントマスクに個性をもたせた。以前のノアは登録台数がヴォクシーを上まわったが、2025年の1カ月平均はノアが約6700台、ヴォクシーは約6500台で大差はない。

 アルファード&ヴェルファイア、ノア&ヴォクシーの登録台数で注意したいのは、必ずしも人気度を反映した数字ではないことだ。両姉妹車ともに、2025年は受注の停止と再開を繰り返した。欲しくても買えなかったユーザーが多い。

 その結果、販売店から「いまならノアを買えますよ」あるいは「ヴォクシーを買えますよ」と言われて購入している。ユーザーの人気度よりも、メーカーの生産計画台数が、そのまま登録台数になっている。

 逆にダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズは、ほとんど受注を止めていない。1カ月平均登録台数は、ロッキーは約1400台で、OEM車のライズは6倍の約8300台だ。ロッキーとライズの差は、メーカーの生産計画台数に基づくものではない。ライズを扱うトヨタは、基本的に小型/普通車のメーカーで、小型車のライズが売れ行きを増やした。ヤリスクロスの受注が滞り気味で、需要が同じコンパクトSUVのライズに流れた事情もある。

 ダイハツは国内販売総数の96%が軽自動車だから、小型車の売れ行きもトヨタに比べて圧倒的に少ない。そのためにロッキーの売れ行きはライズの17%だ。

 以上のように、姉妹車の売れ行きは、メーカーや車種の性格に応じて大きく異なる。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
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13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
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