この記事をまとめると
■かつてラ・フェラーリのプロトタイプ「F150 P2」がオークションに登場した
■F150 P2はハイブリッドシステムを装備していない
■公道を走ることはできないF150 P2は3億8000万円で落札された
3億8000万円の落札額が証明するフェラーリ・プロトの価値
クルマを開発するうえで、試作車が製作されることは決して珍しいことではない。もちろんそれはスーパーカーであっても同じだ。だが、そうした試作車が市場に出まわることは極めてまれといえる。そもそも未完成の車両であるわけだし、登録ができないケースも少なくないため、公道を走行することすらできないからだ。
ところが、それがフェラーリとなると事情は少し異なる。フェラーリというブランドそのものが価値を生み、公道を走れようが走れまいが売りに出され、驚くような価格がつくことがある。
フェラーリ・ラ・フェラーリF150 M4のフロントスタイリング画像はこちら
実際、フェラーリ初のハイブリッドハイパーカーである「ラ・フェラーリ」の開発段階で製作された試作車が、これまでにもオークションに出品されてきた。当サイトでも紹介したことがあるが、ひとつは「F150 M4」と呼ばれるテストミュールで、開発初期に走行テストなどへ使用された個体。そしてもうひとつは「F150 P1」と呼ばれるモデルで、こちらは市販化直前の段階にあった、ボディやパワートレインがほぼ量産仕様に近い試作車だった。
じつは、この2台のあいだにもう1台、別のプロトタイプがあったことが確認されている。それが今回の主役となる「F150 P2」だ。
フェラーリ・ラ・フェラーリF150 P2のフロントスタイリング画像はこちら
ボディには開発車両らしいカモフラージュが施されているが、そのスタイリングは市販版のラ・フェラーリにかなり近い。ほとんど458な外観だったテストミュール「F150 M4」とは異なり、スタイリングに関してはほぼ決まっていた状態のプロトタイプといえるだろう。
では、同じく市販版にほど近いスタイリングだった「F150 P1」とはどこが違うのか。じつはこの2台には決定的な違いがあり、その違いにこそ「F150 P2」の存在意義がある。
フェラーリ・ラ・フェラーリF150 P2の真正面フロントスタイリング画像はこちら
ラ・フェラーリといえば、6.3リッターV12エンジンに電動モーターを組み合わせたハイブリッドシステム「HY-KERS」を搭載していることで知られるモデルだ。市販車はもちろん、「F150 P1」にもこのシステムが搭載されていた。
ところが「F150 P2」には、そのハイブリッドシステムが搭載されていない。つまりこの車両は、純粋なV12エンジンのみで走るラ・フェラーリなのである。
搭載されるのはフェラーリ伝統のF140系V12エンジン。のちの市販モデルと同系統のユニットだが、「P2」の段階では、まだハイブリッドシステムとの統合開発が進行途中であったようだ。つまり、「F150 P2」は、ラ・フェラーリがハイブリッドハイパーカーへ進化する直前の姿を伝える貴重な存在といえるのだ。
フェラーリ・ラ・フェラーリF150 P2のエンジン画像はこちら
ラ・フェラーリは世界限定499台という希少なモデルだが、その裏側では数多くの試作車が製作され、テストが重ねられてきたといわれている。「F150 P2」は、その開発過程を伝える貴重な実車のひとつ。
その証拠に、この個体はオークションで242万5000ドル、日本円にして約3億8000万円という高額で落札された。もちろん公道登録ができない非公認車両という条件付きだ。それでもこの金額でハンマープライスされたのは、「F150 P2」が単なるプロトタイプではなく、フェラーリの歴史の一部を語る存在だからにほかならない。
フェラーリ・ラ・フェラーリF150 P2のリヤスタイリング画像はこちら
完成されたスーパーカーとは違い、試作車には開発の試行錯誤が刻まれている。エンジニアたちが理想のハイブリッドハイパーカーを完成させるまでの過程を伝える1台、それがこの「F150 P2」の本当の価値だ。