この記事をまとめると
■センターメーターはもともと原価低減を目的に採用されたレイアウトだった
■プリウスでは先進感の演出や視線移動を減らして安全性を高める狙いもあった
■現在はヘッドアップディスプレイや新しいメーター配置に取って代わられつつある
役割を終えつつあるセンターメーターの歴史と目的
トヨタの初代プリウスで採用され、一時期流行したのがセンターメーターだ。一般に、速度計などを表示するメーターは運転席の前に設置されてきた。それをプリウスは運転席と助手席の間となる中央に設置した。
センターメーター自体はプリウスが初めてではない。海外では、初期のフォルクスワーゲン・タイプ1(通称ビートル)や、英国時代の初代ミニは、運転席と助手席の間にメーターが配置されていた。それ以外では流行というほどセンターメーターの広がりはなかった。
フォルクスワーゲン・タイプ1のセンターメーター画像はこちら
ビートルやミニにセンターメーターが採用された理由は原価低減のためだ。運転席と助手席の間にメーターがあれば、右ハンドルにも左ハンドルにも変更の必要がなく、仕向け地の交通事情にかかわらず同じ部品を使えるため原価を下げられる。
余談だが、初期のビートルには燃料計さえなく、ガソリンを使い切ったらペダル奥の床に設置されたコックを足で操作すると、予備タンクからガソリンが補充された。ビートルもミニも大衆車の位置づけで、できるだけ身近な値段で消費者の元へ届けるのが主眼であったため、あらゆる面で省力化が求められたのだ。
初代プリウスは世界初の市販ハイブリッド車として、動力だけでなく外観の造形や室内の様子まで、新たな価値を提供しようとした。センターメーターもそのひとつといえるだろう。単に見栄えの斬新さだけでなく、センターメーターは機能面でも運転席の前にあるメーターに比べて配置をフロントウインドウ下端に近づけられるため、前方を見る視線移動を減らすことにつながるとした。
初代プリウスのセンターメーター画像はこちら
軽自動車や小型車も性能が上がり高速で走れるようになると、目線移動による見落としは重大事故につながりかねない。目線移動がいかに少ないか、あるいは目線移動による焦点を合わせる時間をいかに短縮できるかが問われる。センターメーターはその対応策のひとつといえる
目線の移動を減らす策としては、ほかにフロントウインドウに必要最小限の情報を映し出すヘッドアップディスプレイがある。かつてはその装備に原価がかかったが、次第に身近な車種でも採用できるようになってきた。
あるいは、プジョーはハンドルの上からメーターを見る配置とすることでメーター位置を奥へずらし、目線移動や焦点の合わせを改善している。テスラはダッシュボード中央付近に大型ディスプレイを配置し、その隅に速度表示をすることによって情報をひとつの画面に集約しながら、前方を見る視線の端に速度表示を捉えられるようにしている。
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このように目線移動をいかに減らすかについてはさまざまな手法が現れた。そのなかで、運転席の前にメーターを設けながら、表示をより奥に見えるような機能を使う例がある。現行プリウスはハンドルの上からメーターを見る手法を用い、歴代採用してきたセンターメーターを止めた。
トヨタbZ4Xのインパネ画像はこちら
ダッシュボード中央の大型画面でさまざまな情報を表示するようになった今日、運転席正面のメーターは必要最小限の内容に止められるようになったのが理由のひとつではないか。また、bZ4Xなど、トヨタの電気自動車もこの手法を用いており、トヨタ車の次世代的メーター配置としていくのかもしれない。