【試乗】ボルボEX90は1400万円が安く感じる! 新フラッグシップEVの「速くて上質で安全」という圧倒的な実力 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■ボルボEX90は680馬力の力強い加速と高い静粛性、上質な乗り味が大きな魅力だ

■新世代BEV専用設計や徹底した遮音対策により高い快適性と安定したハンドリングを実現

■操作の自由度は低いが安全思想を優先するボルボらしい設計思想が色濃く表れている

変わらずBEV開発への意欲が高いボルボ

 ボルボEX90。全長5035×全幅1965×全高1740mm、ホイールベース2985mm、車重2.7トンのその巨体は音もなく滑るように動き出した。ボルボのフラッグシップSUVはXC90。そのパワーユニットにはICE=エンジンもPHEV=プラグインハイブリッドも用意されている。

 ボルボは2030年までに100%電気自動車メーカーになる目標を掲げていた。数年前にそれを発表したと同時に、「無理に決まっている」と、筆者を含めて良識ある自動車評論家は酷評。その後、予想どおりBEVの情勢変化を受けてボルボは目標達成時期を変更した。2030年までにBEVとPHEVで90〜100%に再構築する「現実的で明るい未来展望」が見えてきた。

 EX90は完全なBEV=バッテリー電気自動車で、動力は前後に搭載のモーターのみ。それが音もなく滑るように動き出したわけだが、静粛性の高さはBEVでは至極当たり前の話だ。アクセルを踏むと即、鋭い加速に転じるところもBEVならでは。速いゼロスタート加速を望んでアクセルをベタ踏みすれば、680馬力のパワーと870Nmの最大トルクは、筆者・カメラマン・編集者と男3名が乗車している重量増加など無関係。0-100km/h加速4.2秒の爆発的瞬発力で、聞きたくもない男3名の悲鳴が混ざる。

 EX90がとくに優れていると感じたのは静粛性だ。これもBEVではとくに驚くことではないが、しかしEX90の室内はさらに静寂な空間になっていた。聞けば新設シャシーは車体そのものを振動させない設計で、音の発生と乗員への不快感を取り除く。フロントガラスを支える左右の筒状になるAピラーは、内部に発泡剤を充填して振動と音の減衰を行う。さらに前後左右のドア、ラゲッジルームや天井も二重の合わせガラスを採用したことで車外からの風切り音、ロードノイズ、タイヤノイズなど遮音を徹底。防音効果の高さが静寂な室内空間を作り出す。

 シャシーがBEV専用の新型に変更され、トータル106kWのバッテリーを床下全面に敷き詰めたレイアウトに変更されているが、ボルボは技術革新のさなかでは、さらに変革を早める。100%BEVにする目標は捨てていない意地もあるのだろう、シャシーに関してはこの次に上陸するEX60が第3世代BEV専用となる。が、完成され尽くした感のあるEX90の乗り味の滑らかさと、骨太なサスペンションアームやフレーム構造による操作に対する正確な動きなどは、車重の重さや、そこに急激に加わるモーターの加減速などまったく関係ないかのようにタフな足まわりと、操作に極めて正確にドライバーの意思が伝わる点が素晴らしい。

 同時にドライバーのオーバースピードによるコーナー進入など、操縦ミスに対しても瞬時のレスポンスで4輪のタイヤを緻密に制御してことなきを得るが、限界はあるし、絶対ではない。そうした安定制御が介入した場合は、ドライバーの操作ミスである事を痛感する必要がある。


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