なぜドイツ人はSUVよりワゴンを選ぶ? 日本でもSUVやミニバンじゃ得られない「知られざる特権」 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■日本ではミニバンとSUVが多く売れておりワゴン車は人気がない

■欧州車ではまだまだワゴン車がラインアップに残っている

■アウトバーンの存在やライフスタイルの関係でドイツではワゴンを選ぶユーザーが多い

欧州車と真逆で日本ではワゴン車がほぼ絶滅状態

 日本ではセダンやステーションワゴンが衰退の一途を辿っている。都市部の道を、高速道路を、レジャー&ショッピング施設を埋め尽くすのはSUVやミニバン、コンパクトカーばかり。じつは、国産高級セダンの定番だったクラウンの最新モデルはクロスオーバーからスタート。かつてクラウンやレクサスLSといったセダンを使っていた多くのVIPが、いまやミニバンのアルファードに乗っているではないか。

 また、筆者がもう20年近く愛用し続けているステーションワゴンは国産車では風前の灯だ。新車で買える国産ステーションワゴンとしては、トヨタのクラウンエステート(トヨタではSUVに分類されている)、カローラツーリング、そしてスバルのレヴォーグぐらいしか残っていない。

 1980年代末から90年代にかけてのステーションワゴンブームで台頭した、4WDワゴンの定番中の定番たるスバル・レガシィ。”スポーツカーが嫉妬する”という強烈なキャッチフレーズで登場したトヨタ・カルディナ。オーテックバージョンとしてR33型スカイラインGT-Rのエンジン、ドライブトレイン、サスペンションシステムを流用した特別仕様もあった日産ステージア。そしてホンダアメリカから逆輸入されていたこともある、筆者が1990年代に2台続けて所有した(2代目US)アコード・ワゴン。

 最近では、コンパクトステーションワゴンのホンダ・シャトル(フィットシャトル)、マツダ6などの人気ステーションワゴンは日本市場でとっくに消滅している(マツダ3にセダンがあるが、クーペ的だ)。

 さらに寂しいのは、かつては世界随一のワゴンメーカーだった北欧のボルボも、ステーションワゴンはいまやV60を残すのみで、その行く末も不透明。XC40、XC60、EX30などを中心としたSUVメーカー、BEV、HV、PHEVを揃える電動車メーカーに転じているのだ。そのあたり、自動車最大級の市場、北米と中国でステーションワゴンがまったく売れない(日本も含む)……という事情もあるはずだ。

 しかし、ドイツでは依然、セダンやステーションワゴンが人気だ(もちろん主流はSUVだが)。それを象徴するのがフォルクスワーゲンのパサートだ。1973年に登場した初代からヴァリアントと呼ぶステーションワゴンとセダンをラインアップし、ドイツの空港からパサートのタクシーに乗った経験では、そのトランクスペースの広さ(3人分のスーツケースを飲み込んだ)に驚かされたものだった。

 2024年に7代目となったパサートはセダンを廃止し、ヴァリアント=ステーションワゴンのみになったのである。その理由は明白だ。2020年ごろのパサートの販売台数のうち70%以上がヴァリアントであり、経営戦略上、セダンを廃止せざるを得なかったのだろう。

 もっとも、ドイツ御三家のメルセデス・ベンツ、BMW、アウディにはセダン、ステーションワゴンがしっかりと残っている。アウディを例に挙げれば、A5、A6、A8、A6 e-tronのセダンがあり、A5 Avant、S5 Avant、A5 Avant e-hybrid、A6 Avant、A6 Avant e-tron、S6 Avant e-tronといったステーションワゴンもしっかり揃えている。また、フォルクスワーゲンのゴルフ・ヴァリアントも人気が根強い(筆者も7、7.5のヴァリアント2台を所有)。ハッチバックと違ってGTIはないものの、さらにスポーティでスポーツカーに匹敵する性能をもつゴルフ・ヴァリアントRまで揃えているほどだ。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2026-2027日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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