この記事をまとめると
■重機には特殊な機構が多数搭載されている
■油圧ホースは絡まらないように「スイベルジョイント」という機構を搭載する
■重量のある重機を不整地で支える「ゴムクローラ」もまた特殊な構造で作られている
言われてみれば不思議な重機ならではの特殊機構
建設機械(建機)の代表格とも言える油圧ショベルは、エンジンの力で油圧ポンプを駆動し、高圧のオイルを各部のアクチュエータに送ることで動いている。運転席やアームのある「上部旋回体」にはエンジンやポンプが搭載されているが、走行用モーターは「下部走行体」に設置されている。つまり、旋回する上部から固定された下部へ、高圧オイルを送る必要があるわけだが、もし単純に油圧ホースを上下でつないでいたなら、半周ほどまわったところでホースが固く巻きついて破裂してしまうはずだ。
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そういったトラブルを防いでいるのが、車体中央の回転軸内に仕込まれた「スイベルジョイント(油圧回転継手)」と呼ばれる部品だ。これは、円筒形のハウジングとその内部で回転するシャフトの、二重構造になっている。ハウジング側は上部旋回体とともに回転し、シャフト側は下部走行体に固定されている。そこに、以下のような工夫がされているのだ。
・シャフトの外周に刻まれた溝
シャフトの円周方向には、リング状の溝(ポート)が上下方向に複数段掘られている
・流路の独立
上部から流れてきた油圧オイルは、ハウジングを経由してこの溝に入り、シャフトの内部を通って下部の走行モーターへと供給される
・特殊シールの存在
各溝の間には高耐久シールのリングが配置されており、オイルが上下の溝へ漏れて混ざるのを完全に防ぐ
これらの仕組みによって、シャフトが中心で回転しても、円周上に刻まれた溝に対して常にオイルが供給され続けるため、上部が360度旋回しても油圧ホースは一切ねじれることなく、オイルを送り続けることができるのである。
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同様に、門外漢からすれば理解不能な建機パーツが、整地されていない荒地や建設現場を難なく踏破するゴムクローラである。一般の乗用車タイヤとは、比較にならないほど過酷な負荷のかかるゴムクローラだが、それは単なる分厚いゴムの帯というわけではない。内部は自動車のタイヤ以上に、高度な複合構造(コンポジット構造)となっているのだ。簡単に切れない理由は、主に以下の3つの構造にあるとされる。
・スチールコード(鋼線)の連続巻き構造
ゴムの内部には、高強度のスチールコードが円周方向に幾重にも巻き込まれている。高品質なゴムクローラでは、このスチールコードに継ぎ目の存在しない「エンドレスワイヤー構造」が採用されている。接合部という弱点を排除することで、急激な牽引力や突起物への乗り上げによる断線リスクを大幅に低減しているのだ。
・金属製芯金(ラグコア)の配置
ゴムの内部には、スプロケット(駆動歯車)と噛み合わせるための金属製パーツ(芯金)が一定間隔で埋め込まれている。これが、エンジンの大きなトルクを確実に路面に伝えるとともに、クローラ全体の横剛性を高めて脱輪(履帯外れ)を防いでいる。
・耐摩耗性・耐カット性に優れた特殊配合ゴム
外側のゴム自体も、アスファルトや鋭利な砕石による裂けに強い、高強度コンパウンドが用いられている。
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つまりゴムクローラとは、「しなやかなゴムの表皮のなかに、鋼鉄の骨格と無端スチールケーブルの筋肉を封入した屈強なベルト」ということだ。過酷な環境で連日稼働する建設機械には、極めて高い信頼性が求められる。油圧ホースを絡ませずに無限回転を可能にする「スイベルジョイント」も、悪路での力強い走りを足元から支える「ゴムクローラ」も、無駄を削ぎ落とした結果生まれたメカニズムの結晶なのである。