この記事をまとめると
■EVを語るうえでよく0-100km/h加速の性能が挙げられる
■ガソリン車を凌駕する性能を誇るがほぼ意味のない数値だ
■怒涛の加速力は高速道路などの合流時などでは効果を発揮する
圧倒的加速力のアピールはほぼ意味なし!
電気自動車(EV)の驚くべき走行性能のひとつに、発進から時速100kmまでの加速時間がある。エンジン車で優れた性能を発揮するのはスポーツカーなど高性能車が主で、たとえば、日本で販売されているポルシェ911(エンジン車)の0-100km/h加速時間は、車種によって2.5~4.7秒の範囲にある。
ところがEVとなると、米国テスラのモデル3(一般的な4ドアセダン)でさえ、車種によって3.1~6.1秒である。あるいはトヨタbZ4XツーリングというSUV(スポーツ多目的車)でも、4.5秒の俊足だ。EVにおいて、加速の速さを語る意味はもはや失せている。
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それでもポルシェは、タイカン(EV)の導入に際し、2.2~4.8秒の加速性能は、単に一瞬の能力ではなく、何度もその加速性能を繰り返せるのがスポーツカーの証と述べ、EVスポーツを語るうえで性能評価の指針であるとした。
とはいえ、同じポルシェでさえ、加速性能はEVのほうが最速値で上まわる。このことがモーター駆動の特長を明らかにしており、0-100km/h加速の速さ云々は、もはや主張すべき性能差ではなくなっている。EVは、ハイブリッド車(HV)を含めエンジンを搭載するクルマと違う乗り物として語るべきということだ。使い勝手を含め、エンジン車やHVと比べてどうかとの論議は、意味をなさない。
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モーター駆動の驚くべき性能は、トルク特性にある。
軽EVであるホンダN-ONE e:のモータートルクは、162Nmだ。エンジン車のN-ONEのトルクは、自然吸気(NA)エンジンで65Nm、ターボエンジンで104Nmである。モーターにNAやターボのような区別はなく、N-ONE e:のトルク値は車格を問わず一様に165Nmで、それはターボエンジン車の1.5倍以上になる。
また、ガソリンターボエンジンの最大トルク値104Nmは、エンジン回転数が毎分2600回転のとき発生するのに対し、モーターの162Nmは回転し始めから発揮させることができ、回転数に依存しない。軽でさえ、ガソリンターボエンジンは、もはやトルク性能でEVにかなわないのである。
これがなにを示すかといえば、発進加速のよさはもちろんのこと、高速道路への合流など、中間加速においても回転数を問わず素早く応答し、適切に速度を上げ、流れに乗れることを意味する。
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EVは発進が穏やかでも素早く速度を上げ、追い越し加速や合流などでも、アクセルペダルをわずかに踏み足せば目的を達せられる。これが、EVの運転しやすさにつながる。とくに、加速車線の限られた距離で本線の速度に合わせるのが苦手な人に朗報だ。
逆に、停車状態から発進する際、エンジン車と同じように強くアクセルペダルを踏み込めば、電費を悪化させることになる。エンジン車とEVでは、アクセル操作の仕方が変わるということだ。EVで、満充電からの一充電走行距離に不安を覚えたり、不満をもったりする人の多くは、エンジン車と同じアクセル操作をしている可能性が高い。無駄に電気を消費している懸念がある。
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そしてEVは、減速でモーターが発電機に切り替わり、バッテリーに充電できることを忘れている人もいる。エンジン車では考えられないエネルギー回収機能だ。これを有効活用するペダル操作で、走行距離への不安を軽減できる。
EVは、エンジン車やHVとは別モノという前提が、EVを上手に使う秘訣だ。そして、性能比較において、0-100km/h加速時間はほぼ意味のない諸元となっている。