【超速攻試乗】R35GT-Rの2017年モデルに中谷明彦がヨーロッパで乗った(インカー動画あり) (2/4ページ)

本当に300km/hで会話が楽しめるクルマになった

 エンジンを始動し、シフターをDレンジにエンゲージする。従来モデルにくらべ格段に静かになったエンジン音、そしてシフ ト時のガチャガチャ音もなくNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)は普通の乗用車のように静かだ。そして走り出してもその傾向は変わらない。 これが本当にGT-Rなのか!? と思えるほどに静かで快適なクルマに生まれ変わっていることがわかった。

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 さらに低速域でもはっきりとわか る直進性のよさをも身につけている。路面の轍やアンジュレーションを受けても直進軌道は乱れず、しっかりとしたステアリング直進の座り感がある。直進でも グリップ感を感じられるというのは重要なことで、燃費追求からホイールアライメントのトーインをゼロに強要された最近のクルマ達からは、久しく感じ取れな かった欧州プレミアムのよさに準ずる好感触な感覚を身につけている。

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 アウトバーンに入り速度を上げてもそれは変わらない。GT-Rデビュー当時、300km/hで走行していてもステアリングは直進を維持し、助手席の同乗者と 普通の声で会話ができると表現されていたが、実際はそこまでの安定感、静粛性には達していなかった。だが2017年モデルとなった今、本当にその領域に達 したと思える。今回速度無制限エリアが少なく、220km/h前後までしか速度を上げられなかったが、そのレベルではまさに快適。圧倒的な直進安定性を保 ち、路面からの突き上げも穏やかでロードノイズやエンジンの騒音、風切り音などあらゆるNVHが向上させられていることを確かめられた。

 そしてベルギーの「Circuit de Spa- Francorchamps(スパ・フランコルシャン・サーキット 以下:スパ)」に到着。スパはF1GPも開催される世界屈指のハイスピードサーキット で、超高速のアップダウンからなる「オー・ルージュ(赤い水)」と呼ばれる魔のコーナーセクションがあることでも知られる。

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 GT-Rのテス トステージとして何故スパが選ばれたのか。それはR32GT-RがグループAカテゴリーで活躍した1991年に遡る。フルタイム4WDであるR32GT- Rがスパ24時間レースを制したことが欧州では大きな話題となり、GT-Rの知名度を飛躍的に高め、現代にまで通ずる崇高なイメージを確立した。そういう 場所として、開発の聖地であるニュルと同等に崇められているからだ。

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 とはいえスパは「スパ・ウェザー」という言葉で言い表されるように、変わりやすい天候により、コース各所でコンディションが激しく変化することでも知られる。テスト当日も曇り空が時折雨粒を落とす不安定な天候となった。

ついに難攻不落のスパでGT-Rに全開のムチを入れる!


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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