【超速攻試乗】R35GT-Rの2017年モデルに中谷明彦がヨーロッパで乗った(インカー動画あり) (4/4ページ)

GT-RがAWDを捨てることはないと明言

 ハンドリングも大きく改善した。一般道で感じたNVHの高さ、しなやかなサスペンションの動きはサーキットではどうかと思ったが、大きく車体ロールを起こす こともなく、ロール自体も大きく感じない。フラットな姿勢が維持され、切り増し応答も確保でき、自在なライントレースが可能だった。もちろんドライ路面で タイヤのグリップがより強く発揮されれば、ロールモーメントが増えるはずだが、空力や車体の前後剛性バランスが絶妙に取られていて不安感は皆無だ。

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 今回のモデル進化では、とくにボディとサスペンションチューニングに注意が払われたという。車体剛性は板圧の向上や溶接、接着など手の込んだ作り込みを施し た。サスペンションはバネレートを以前の半分レベルにまで落としている。加えてビルシュタインのショックアブソーバーのチューニングを進化させ、万全な ロードホールディングと安定性を達成できたという。

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 前後のイニシャルトーインはイン側に強められ、フロントで1.2〜1.7mm、リヤは1.9〜2.8mm(それぞれ質量条件によって変動)となったが、車体剛性が高められたことで、そうした微小なセッティング変更でも明確な挙動変化を引き出せている。

 さて冒頭に述べたパドルシフトレバーのステアリングスポーク配置だが、スパのような超高速サーキットではステアリングの最大切り角が90度に達しないので、 操作上の不具合はない。ただタイトターンの多い低速コースやジムカーナ、ドリフトなどの場面では使い難さを感じるだろう。

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 スパは高速コース ゆえ空力効果も確認できたが、Cd値(空気抵抗値)を大きく変化させず、CLF/CLR(前後の空力リフト)を限りなく同一として、フラットな車体姿勢を 保ことも直に感じ取ることができた。その姿勢が安心感、安定感を与え、ステアリングの切り込み時にイニシャルアライメントの確かな効果を引き出すことに貢 献している。

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 今回2017年モデルを取りまとめた、田村宏志チーフ・プロダクト・スペシャリストによれば「GT-Rが4輪駆動をやめること はあり得ない」と断言してくれた。ハイパワー車にAWDは必須と考えている僕には嬉しい言葉で、GT-R GT3がレギュレーションにのっとりFR化されているが「レースはレギュレーションがあるから仕方ない」との言葉を聞いて安心した。

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 最高出力で20馬力向上し、トルクバンドも60%高められたエンジン特性向上で最高速やラップタイムも速くなっているはずだ。また2.8秒という量産モデル世界一だった0-100km/h発進加速タイムもより強化されたに違いない。ゼロ発進加速についてはローンチコントロールを使用するが、じつはモデルイヤーによって設定の有無が存在する。07/08年モデルはローンチ発進可で(4500rpm/VDC-R且つRモード)、09/10年モデルではローンチコントロールが廃止されていて、11年モデル以降に再設定されている(4100rpm/VDC-R且つRモード) 。そしてもちろん今回の2017yモデルにも備わる

 今から国内デビューが待ち遠しくて仕方がないが、その暁にはいよいよ夢の「筑波サーキットラップタイム1分切り!」が達せられるに違いない!


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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