【意外と知らない】クルマのエアロパーツがもつ効果とは?

パーツごとに狙う目的もさまざま

 リヤウイングやスポイラーに代表されるエアロパーツは、「空力的付加物」と言い換えられる。その目的は、主に5つ。

①車体まわりの空気の流れを整流して、空気抵抗の低減(Cd値=空気抵抗係数など)。燃費にも影響。

②揚力(CL値=揚力係数)を減らして、ダウンフォースを稼ぐ。操安性の向上。

③冷却性能のアップ。ラジエターやインタークーラー、ブレーキなどに、フレッシュなエアーを取り込みやすくし、エンジンルーム内などの熱気を効率よく排出する。

④ドレスアップ。デザイン的に工夫することで、エクステリアの印象を変える。

⑤スチールからアルミ、FRP、カーボンなどへの材料置換による軽量化。

 このうち、④のドレスアップ効果の比重が多い場合は、「飾り」といわれても仕方がないが、①~③の要素がメインなら、立派な機能パーツといえるだろう。

 各パーツの具体的な役割は次の通り。

  

・フロントスポイラー

 ボディ下面に空気が流れ込まないようにして、フロントバンパー裏側付近の空気の圧力を下げ、フロント側の揚力を減らし、ダウンフォースを得るのが狙い。フロントバンパー一体型のバンパースポイラーと、バンパーの下部に取り付ける、リップスポイラータイプがある。
バンパー一体型のエアロは、ラジエターの開口部なども大きくなっていて、冷却性能の向上を狙っているものも多い。
また、後述するリヤディフューザーと組み合わせて、ベンチュリー効果で、ダウンフォースを稼ごうとする場合は、むしろボディ下面に空気が入りやすい形状がベターだったりする。

・サイドスカート

 ボディのサイドから、フロア下に流れ込もうとする空気を防ぎ、より効率的に後方へ流れるよう整流することを狙っている。ただし、市販車では最低地上高が高いので、空力的効果は、前後のスポイラーほどは期待できない。装着すると、車高が低く見えるという意味で、ドレスアップ効果は大きい。

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・リヤウイング/リヤスポイラー(ルーフスポイラー)

 ダウンフォースを発生するのに、非常に有効。F1をはじめ、スーパーGTなどのレーシングカーには、大きなウイングが付いている。飛行機の羽根を天地逆転させた形でレイアウトし、前端と下端は薄く、中央は厚みがある方が、ダウンフォースが強い。また、前後長は長く、マウント位置が高い方が、より「効く」。翼端板も大きく、角が丸いタイプがダウンフォース面では有利。
ただし、ダウンフォースは、空気抵抗と基本的にトレードオフの関係にあるので、相殺されない落としどころを見つけるのが肝要。また、保安基準でも厳しい形状規制があるので要注意。

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・リヤディフューザー

 フロア下を流れてきた空気を、後方に向かって跳ね上げられた整流板=ディフューザーで積極的に抜き、フロア下を流れる空気の流速を上げて、ダウンフォースを発生させる。ボディ下面をできるだけフラットにすることで、空気抵抗が減り、このディフューザー効果も大きくなる。

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・カナード

 フロントバンパーの両サイドにつけられた、小さなウイング=ダウンフォース発生アイテムと思われているが、大きな目的は、ホイールハウス内の空気を引き抜くのが大きな仕事。タイヤハウス内に空気が溜まると、リフトフォースになっていく。

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・NACAダクト

 NASA=アメリカ航空宇宙局の前身、NACAが開発した効率的に空気を取り入れる形状。ボンネットのタービン上部付近などに取り付けられる。

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・エアアウトレット

 取り込んだ空気は、上手に抜くことが空力的にはより重要。エンジンルームの熱気を抜くために、ボンネットにエアアウトレット(穴)があけられた、エアロボンネットなどが代表。

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 その他、空気抵抗の小さいエアロミラーや、エアロワイパーなども空力パーツの一種。空力パーツは日進月歩の世界で、レーシングカーとも直結している部分なので、注目していると面白い。もちろんカッコよさも重要だけど、過ぎたるは及ばざるがごとし。あんまり派手なのも……かな?

  

  


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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