【カングーからメガーヌまで】MTを嗜むドライバー必見のルノー車たち (2/2ページ)

 スポーツモデルからコンパクトまでカーライフを満喫できるMTが揃う

・メガーヌ WEB CARTOP

 5ドア・ハッチバックとエステートのスポーティ・グレード、GT220、それに3ドアの最強版RS273が6速MTのみの仕様。273馬力に36.7kg-mの1998cc直4ターボを積むニュル最速の1台、RS273のみならず、そこまでハードではないグランツーリスモ指向、ディチューン版の220馬力に34.7kgmを積むGT220までMT版のみという潔さ。しかもワゴン・ボディも同様、である。巧みにチューンナップされたシャシーとパワフルでトルクフルなエンジンをMTで操るのは、まさしく快感。WEB CARTOP

・トゥインゴWEB CARTOP

 現状ではルーテシア0.9リッターと同じ897cc直3ターボとセミATのモデルのみだが、日本導入当初に71馬力と9.3kgmの998cc直3自然吸気と5速MTを組み合わせたサンクSというモデルが50台限定で設定され、即日、それもわずか数分で完売。2017年にはほぼ同じ仕様が正式なカタログ・モデルとして設定される模様で、その発売開始も間近だ。WEB CARTOP

 といった具合で、キャプチャーというクロスオーバーSUVを除けば、コンパクトカー、ミニバン、ハッチバック、ワゴン、スポーツカーのすべてにMTモデルが用意されている、というわけだ。ご存じのとおりフランス本国は驚くほどMT車比率が高い国であり、本国にあるものをそのまま日本へ持ってきたと見る向きもあるだろうけど、日本のマーケットの現状を考えれば、ちょっとリスキーなラインアップの組み立て方。

 並行してATやセミATがあるなら、そっちだけ導入するというのが標準的なやり方といえるだろう。ところがルノー・ジャポンは、積極的にMT車を導入していて、しかもファン達からは根強い支持を受けているのだ。どこのディーラーに訊ねても、MT車の販売比率が高いのである。それってとっても凄いことだと思う。

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 全員がそうだとは言わないけれど、クルマを走らせることが好きな人の多くは、MT車を走らせることに楽しさを感じるものだ。僕ももちろんそう。腕と足を駆使して、脳ミソと全身の感覚を総動員してのドライビングは、「操縦してる!」という感覚に満ちていて刺激的だ。ひとつひとつの操作を正確にタイミングよくしていかないと綺麗に走ってくれないというところが、“ちゃんとできている”自分に軽く誇りが感じられて、またいい。WEB CARTOP

 それに何より、自分自身の意志で積極的にギヤを切り替えることが、まるで自分自身で生きるスピードを決めているような感覚につながっていて、最高にいい。ATでクルマに委ねて走るのは安楽でいいけれど、すべてが自分次第のMTは、自分の全身を使って自分の人生を自分の意志で生きるというのに、とてもよく似てる。他人にプログラムされた人生より、自分で全てをコントロールしながら生きていきたい。そんなふうに思ったことはないだろうか?

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 考えてみれば、フランスはおそらく唯一、高校の授業のカリキュラムに“哲学”がある国であり、そこがとても重視される国でもある。生き方は自分で考えろ、というわけだ。フランスのMT比率が高いのは、だからなのかも知れない。

 とはいえ、そんな理屈はどうでもよくて、単に楽しいから、だからMT。それでいいのだと思う。日本で暮らしているとMT車に乗りたくてもチョイスそのものが少ないわけだけど、ならばルノーのディーラーを訪ねてみたら? とオススメしたい。もしかしたらあなたは、ルノー・ジャポンのリスク覚悟のラインアップ作りに、感謝することになるかも知れない。WEB CARTOP


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
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