【ニッポンの名車】ボディの小型化で軽快さを取り戻した日産S15型シルビア (2/3ページ)

オーテックバージョンやオープンモデルも登場

 1999年10月には、スペックSをベースに、自然吸気にこだわってカム交換(ハイカム化)+圧縮比アップ、専用排気バルブ、エキマニなどで性能アップされた、200馬力仕様のスペシャルな一台、オーテックバージョンも登場。

 さらに、2000年7月には、国産車で初めてのフルオープン電動メタルルーフを採用したコンバーチブル、「ヴァリエッタ」が復活(S13にはオープンカーの設定があったが、S14にはなかった)。

 しかし、2002年8月をもって生産終了。スポーツカーらしいシルエットと、ターボ車でも1240㎏の軽量コンパクトなボディ、チューニングベースに最適なターボエンジンと、なによりFRの駆動方式。

 クルマ好きが喜ぶ要素がたっぷり詰まったクルマだったが、排ガス規制(平成12年度)や、スポーツカーブームの陰りもあって、約3万台しか作られなかった。

 正直言えば、エンジンもハンドリングも、まだまだ手を入れる余地というか、手を入れたくなる部分があり、発展途上中のクルマという印象もあった。しかしスペックRの新車で239万円だったことを考えると、コストパフォーマンスは文句なし。チューニングのベース車としてはベストの一台だった。

 今でもドリフトのベース車として、中古車はけっこう高い人気がある。あと3年早くデビューして、モデルライフが6年近くあれば、もっとクルマファンも増やせただろうし、クルマの評価も高かっただろうと考えると、S14&R33時代の、日産のクルマ作りの迷走が悔やまれてならない……。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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