雨天時のドライブでリスクを減らすための対策とは (2/2ページ)

ウエット路を考えればタイヤの残溝3mmぐらいで交換したい

 タイヤと路面の摩擦係数(μ)は、舗装路のドライ路面で0.8前後、それがウェットになると0.6〜0.4に低下する。大雑把にいえば、雨の日のアスファルトは、乾いているときの2倍ぐらい滑りやすいということをまず覚えておこう。

 そのうえでもっとも重要なことは、きちんと溝が残っているタイヤを装着すること。新品タイヤの溝の深さはだいたい8mm前後。これが五分山=4mmぐらいになるとウエット性能がガクンと落ちる。保安基準では最低1.6mm以上あればOKとされるが、できれば残りが3mmぐらいになったら交換したい。

 また、いわゆるエコタイヤは溝があっても要注意! エコタイヤのカタログを見ると、転がり抵抗係数(「AAA」「AA」「A」)と、ウェットグリップ性能(「a」「b」「c」「d」)がきちんと表記されている。

 転がり抵抗係数とウエットグリップ性能はトレードオフの関係にあるので、転がり抵抗係数が「AAA」で、ウェットグリップ性能も「a」というタイヤは、BSのECOPIA EP001Sなどを除けば非常に稀だ。通常は、低燃費性能のいい=転がり抵抗係数が優れたタイヤは、転がり抵抗に振っていないタイヤに比べると、ドライ・ウエットグリップ性能が下がるといえる。

 日本は一年の1/3は雨の日なので、タイヤを選ぶ場合は、ウエット性能を優先に選んだほうが、安全=経済的だ。それから、タイヤの空気圧も、ウエット性能と密接に関わっていて、空気圧が低いクルマほど、ハイドロプレーニング現象を起こしやすい。

 空気圧とハイドロプレーニングの発生する速度については、「V(速度)=63√P(空気圧)」という公式があり、空気圧が2.0kg/㎤だとすると、V=ハイプレ発生限界速度は89.0km/h、空気圧が2.5㎏/㎤なら、99.6km/hまでがMAXという計算になる。

 もちろん、この速度以下なら絶対にハイドロプレーニングが発生しないというわけではないので、あくまで目安にしておいて、雨天でタイヤが冷えたときでも空気圧が適正値を下まわらないよう、高めに設定しておこう。

雨天時の運転中は急の付く動作を避けるのがセオリー

 その他、雨天では急のつく操作を避けるのもセオリー。雨の日は、40km/hで走行しているときで、制動距離は4割伸びるというデータがある。各種の操作は、タイミングを早く、操作自体はゆっくり目にするのが基本。

 ただし、本当に危ない場合は、ブレーキを目いっぱい踏んで、ABSを最大限効かせるのが肝要。時間に余裕を持って行動するのも、安全マージンを稼ぐ大事なファクターだ。また、水深が深くなる、轍を避け、路上の横断歩道など、ペイント部分やマンホールなど、滑りやすい部分にも気をつけよう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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