この記事をまとめると ■8年ぶりにマツダ主催の「メディア編集者体験会」が開催された
■初日は防府工場を見学して翌日は美祢自動車試験場で試乗会を行った
■海外専売車の試乗体験やマツダのクルマ作りにおける哲学を学んだ
いつか来たかった憧れの地にやってきた 前回の記事 でマツダが長年、ギョーカイの若手向けに開催していた、マツダをもっとよく知ってもらうためのイベント、「メディア編集者体験会」というのを8年ぶりに開催するとのことで、「行ったことないならお前が行ってこい」と、編集部でドラフト1位指名を受けて山口県に飛び、そこでマツダの歴史や、同社のマザー工場である防府工場などを見学。「これでもか!」といわんばかりにマツダのイロハを教わった。
マツダメディア編集者体験会2026の様子 画像はこちら
しかし関東からはるばる飛んだ先が山口県であるが故に、日帰りで終わりなわけがない。この取材会は1泊2日なのである。翌日は、マツダが所有する、テストカーなどを走らせる試験場に連れて行ってくれるとのことであった。そう、「美祢自動車試験場」である。ここはその名が示すように山口県美祢市にあり、かつて「MINEサーキット」と呼ばれていた場所だ。1972年から2006年までサーキットとして運営されており、閉鎖後はマツダが買い取って、現在の試験場になった。なお、開業時は厚保サーキットという名称だったという。
美祢自動車試験場の様子 画像はこちら
なんとなく地方にあるサーキット、それも閉鎖されたような場所だから小さいイメージがあるかもしれないが、ここはフォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)やJGTC(現SUPER GT)や、当時一世を風靡したツーリングカーレース、JTCCも開催された由緒正しい場所。他社にはなるが、トヨタのAE101型レビンのCM撮影で、片山右京さんが「右京、レビンす」のキャッチコピーとともにクルマを走らせたのもこの場所だ。
美祢自動車試験場の様子 画像はこちら
ここからは個人的な与太話であるが、筆者の実家には生まれた日に発行された各新聞というのが残されているのだが、そのうちの某スポーツ紙には、1994年7月16〜17日に開催されたJTCC第9戦、10戦のリポートとリザルトが掲載されていた。筆者は18日生まれなので前日までの結果だ。そのレースがここMINEサーキットで開催されていたので、筑波サーキットや富士スピードウェイよりも先に、年少時に知っていた場所だったこともあり、いつか訪れたかった念願の地でもある。
1994年のJTCCのレースリザルトが載った紙面 画像はこちら
さて、そんな「MINEサーキット」改め「美祢自動車試験場」では、マツダの最新モデルの試乗と、G-ballジムカーナなる耳にしたことがないプログラムが用意されていた。
ここでは、マツダ車が「人中心に作られていることを知ってもらいたい」とのことで、試乗時はマツダの開発系のスタッフとの同乗試乗で、「どんなふうにマツダ車が作られているのか」、マンツーマンで解説してくれるほか、G-ballジムカーナでは、マツダの現役テストドライバーが、普段どのような試験をしているのか、一部を体験させてくれるというものだった。
マツダメディア編集者体験会2026の様子 画像はこちら
まずは最新モデルの試乗から。用意されていたモデルは「CX-60」「CX-80」とお馴染みのモデルから、なんと北米モデルの「CX-50」と「CX-90」、中国専売EVの「EZ-60」という激レアモデル。それとみんな大好き「ロードスター」もあったが、こちらは12Rなどの開発で使われていたパーツがそのままついている、まさにテストカー。見た目こそ普通だが門外不出の1台だ。
マツダ CX-50とCX-90 画像はこちら
これらのクルマに乗ってみるというのがプログラムの内容だが、走る場所は美祢自動車試験場の本コースではなく、アップダウンや小さなコーナーが多い外周路となっていた。元サーキットを走るものかと思っていたが、外周路の方が一般道、それもワインディングに近いので、マツダ車を知るという意味ではむしろ合っていたかもしれない。
このうちの「CX-60」や「CX-80」に関してはギョーカイの諸先輩方があれこれ語っているので、あえて筆者が語るまでもないが、北米で展開される「CX-50」と「CX-90」、EVの「EZ-60」はかなり異質な存在だ。とはいえ、それぞれインプレッションしていると凄まじいことになってしまうので、軽く紹介するだけにとどめる。
マツダ CX-90 画像はこちら
まず「CX-50」だが、このクルマはCX-5クラスのクルマに見えるが、こちらはCX-30やMAZDA3のプラットフォームをベースとしたスモール商品群に属するモデルで、お馴染みの魂動デザインを用いているものの、心臓部はなんとトヨタのハイブリッドシステムである、THSⅡをベースとしている。事実、このクルマはトヨタとの合弁新工場「Mazda Toyota Manufacturing, U.S.A., Inc. (米国アラバマ州ハンツビル)」で作られている、なんとも風変わりなクルマだ。ちなみに2.5リッターガソリンエンジンモデルも存在する。
マツダ CX-50 画像はこちら
北米で展開されるモデルだけに、CX-5よりもひとまわり大きなサイズで、全高は抑え気味と、ワイド&ローなフォルムが特徴的なタフギヤ感溢れる仕様となっている。乗ってみると確かにボディは大きいのだが、見切りがよく、視界は良好。左ハンドルなので万人受けはしないが、ハイブリッドシステムも違和感なく、「日本のユーザーもこのパッケージを欲しがるのでは?」と思ってしまった。ただ、先日フルモデルチェンジをしたCX-5という稼ぎ頭がいるだけに、ボディサイズもCX-5とそれほど変わらないので、ちょっと厳しいか。ハイブリッドを搭載すると価格も張るので、空振りするモデルになるかもしれない。
マツダ CX-50のエンジン 画像はこちら
「CX-90」は「CX-60」や「CX-80」が所属するラージ商品群の最大サイズモデル。こちらも北米で展開されている3列シートを備える巨大SUVで、全長5100mm×全幅1971mm×全高1745mmという迫力のボディサイズが自慢だ。こちらも「CX-60」や「CX-80」同様に3.3リッターの直6ディーゼルエンジンを搭載し、モデルによっては2.5リッターエンジン+PHEVなどの仕様も用意される。
マツダ CX-90 画像はこちら
かなりの巨体だが、今回試乗したPHEVモデルは動力性能に不満はなく、コース内の上りもモーターの圧倒的トルクでグイグイ進んでいく。こちらも大きさのわりに視界は良好であった。
前述の「CX-50」や「CX-90」は北米マニアが逆輸入してくる可能性があるが、中国専売のEV、「EZ-60」はかなり異色の存在だ。こちらは電動車大国である中国市場での展開を狙って、中国での合弁事業のパートナーである重慶長安汽車股份有限公司の協力のもと、長安マツダ汽車有限公司が開発・製造したクルマである。よく中国では、現地のパートナー企業が作ったクルマをベースに、日本企業が独自のテイストを入れることが多く、このクルマも例に漏れない。実際、長安汽車の深藍S07(Deepal S07)というクルマがEZ-60のベースだ。
マツダ EZ-60 画像はこちら
なおこのクルマ、中国人の好みに合わせて作られているとのことで、内装は豪華で高級感のある雰囲気、そしてインパネに備わる巨大なモニターといった先進性のアピールはマスト。中国人は新しいものが好きとのことで、販売時における最新機能やアプリはもちろん、とにかく格好いいクルマを好むという。マツダの伝統である魂動デザインを筆頭とした、イケてるデザインと先進性が見事に融合しているのが、このEZ-60の特徴だ。
マツダ EZ-60の車内 画像はこちら
お世辞抜きに、我々日本人からしても目を惹くデザインであるし、このまま日本で売っても悪くなさそうな雰囲気を漂わせていた。走りに関してもマツダ主導の設計とあって、とくに違和感をもつようなこともなく、遮音性も良好。なお、パワーステアリングの制御は「中国人は隙間があればバシバシ入るので、パワステは軽めが好まれます」とのことで、車体のわりにはステアリングフィーリングは確かに軽めな印象であった。
マツダ EZ-60 画像はこちら
充電環境の問題もあるので、「EZ-60」は難しいかもしれないが、「CX-50」や「CX-90」は、日産のムラーノ、ホンダ(アキュラ)のパスポートとインテグラ、そしてトヨタのタンドラ、ハイランダーのように、アメリカの関税対策を考えた際、決して悪い選択ではないようにも思えた。「CX-5」や「CX-80」といったキャラとは被ってしまうが……。
マツダ CX-50 画像はこちら
みんな大好き「ロードスター」に関しては、ステアリングやシフトノブが12Rと同等のものが取り付けられており、実際にここ「美祢自動車試験場」などでこれらのパーツのフィーリングを、クルマに合うかどうか確かめていたという。地味な部分だが、かなり貴重なパーツだ。
マツダ・ロードスター 画像はこちら