【月販数十台のクルマも】売れない車種を販売し続ける理由とは?

他メーカーへの流出を避けたり海外での販売促進など理由は多い

 日系ブランドでは、軽自動車も含めると兄弟車やOEMモデルの数え方で変わってくるものの、200車種近くが日本国内でラインアップされているとも聞く。ラインアップ

 販売トップ車種は、多いときには2万台(月販)前後を販売することも珍しくない。ただ自販連(日本自動車販売協会連合会)や全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の統計資料を合算すると、2016年の年間新車販売台数は約497万台。

 平成2年に記録した過去最高の新車販売台数が約777万台なので、ピーク時の6割ほどまで販売台数が落ち込んでいるのが現状。そのため今では登録車ならば月販2000台ぐらい達成すれば「ヒットモデル」とさえ言われるようになっているのも現状。

ラインアップ

 なかには月販数百台というモデルや、数十台といったモデルも意外なほど存在する。なぜメーカーはそのような「売れない」モデルのラインアップを続けるのだろうか。

 モデル個々によって事情は異なるのだが、よく聞かれるのが販売サイドからの「ラインアップを減らさないでほしい」というオファーが強いことによる影響。たとえばあるメーカーでミニバンが販売不振だからといって生産を終了しラインアップから外せば、今までそのメーカーのミニバン、いやミニバン以外の車種にも乗っていたひとが、ミニバンへ代替えしたいと考えても間違いなく他メーカーにお客が流出してしまう。販売現場はそれを危惧して生産終了には否定的な立場をとることが多いと聞く。ラインアップ

 もうひとつの理由が世界市場との関係。たとえばカムリは北米を中心に中国市場などでも人気が高く、トヨタの世界戦略モデル(稼ぎ頭)なのだが、日本ではボディサイズが大きいこともあり人気はさっぱり。

 それでもラインアップを続けるのは、海外で好調に売れているのに、日本国内でラインアップされていないのはおかしいなどと言われかねないので、いろいろ(政治的にも)とまずいという配慮もあるとの話も聞いたことがある。

 またスズキ・バレーノについては、2016年のインド・デリーで開催されたデリー・オート・エキスポのプレスカンファレンスでは「インドで生産されたバレーノは日本市場でも販売され日本の消費者に使われている」と、その優秀性の一例として紹介していた。ラインアップ

 バレーノはインドではプレミアム・コンパクトハッチバック車として、スズキの上級車取り扱い店で販売されている。日本市場で同じインド生産モデルが販売されていることは当然販売現場ではセールスポイントとして使うはずだ(ただしスズキはバレーノの国内投入に関してこのような背景があることは否定しているとのことだ)。ラインアップ

 日本市場でもスズキは登録車販売(軽以外の普通車)にここ数年は積極的に取り組んでいるので、ラインアップ充実の一貫でバレーノを国内投入したのだろうが、理由がそれだけではないのも確かなようである。販売台数が少ないものの、日本国内で販売が続けられる理由はまさに千差万別なのが実状である。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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