【開発陣に直撃】本物感から本物へと昇華した「新型ハリアー」デザインの秘密

微に入り細に穿つような高級さの追求

 新型ハリアーがデザインで目指したもの。それは「本物感」から「本物」への昇華だ。開発責任者をつとめた石井隆さんは、次のように語ってくれた。

ハリアー

「より本物となった高級感を味わっていただけるクルマに仕上げました。たとえば上級のシートでは、表皮にはプレミアムナッパ本革を採用しています。また、シフトパネルやコンソールリッドにはヘアライン加飾を施したアルミパネルを採用しました。プレスするのが難しいし、コストも高い素材なんですが、本物を使ってこそ本物の味わいが生まれると考えて取り入れたものです」

 高い質感を求めた内装は、細部にまでこだわりが貫かれた。室内照明はすべてLEDに変更され、メーターのリング照明も、1mm以下の細く赤い光で外周を彩るなど、スマートかつスポーティな意匠が追求されている。

「ターボモデルのシートは、黒と赤の融合によってスポーティさをしっかり感じられる表現としました。赤いステッチだけでなく、じつはシートについても、黒いウルトラスエードの下に赤い生地が入っており、上の生地の目を通して下の赤がうっすらと感じられるという演出をしています。ここも徹底的にこだわって仕上げた部分のひとつですね」

 内装だけでなく、外装のデザインについても、開発チームのこだわりが随所に感じられる。デザインが一新されたヘッドライトは、スモーク調メッキ加飾により、高級感のあるスポーティさを実現。ライトユニット内にはヘアライン仕上げのアルミ加飾が備わり、アダプティブハイビームシステムのロゴが刻印されるなど、きわめて細やかな部分にまで質感の向上が図られている。

 ターボモデルでは、フロントグリルも専用のデザインが奢られている。鷹のモチーフで彩られたアッパーグリルは、色を練り込んだアクリルを本体とし、さらに裏側から塗装を入れて立体感を際立たせるという手間のかかった手法を採用。ロアグリルはメッシュタイプとし、どっしりとした重心が感じられる精悍なフロントマスクとなっている。

 リヤのコンビネーションランプのデザインも大きく変更された部分のひとつだ。

「これまでは内部のエクステンションが黒系の色で、アウターレンズが素通しだったため、黒いボディカラーだとリヤランプの外形がわかりづらいデザインでした。新しいデザインは赤いレンズになって外形がしっかえり見えるようになっています。テールの光らせ方も均一性にこだわって、より質感高く見えるような光り方になっています」

 また、デザインとともに、静粛性の向上も、「本物」を追求するうえで重要だったと語る石井さん。

「静粛性はハリアーの命です。絶対に妥協できない点のひとつです。振動・騒音の問題は、どこが発生個所で、何が原因なのかを突き止めるのも大変です。パーツの組み合わせによる発生もあるし、想定できるさまざまな可能性をひとつずつつぶしていくしかないんです。細かいところではエアコンの配管のダッシュ貫通部のシール性向上など、できる範囲ですべてやり尽くしました。『本物』の高級感を実現するためには、こうした細かいことを積み重ねていくことが絶対に必要だと考えたんです」


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