【世界の名車】これぞスポーツカーの真の姿! 初代ロータス・エリーゼ (2/3ページ)

巧みな足のセッティングで軽さのネガを感じさせないクルマに

 冒頭に“軽さはクルマに悪影響を与えない”というようなことを記したが、もしひとつ悪影響があるとするなら、それは4つのタイヤを路面に押し付けるチカラが不足しがちになることがあるということ。ロータスはエリーゼに極めてしなやかに伸び縮みするサスペンションと巧みに動く前後左右の荷重バランス、タイヤがグリップを失い始めるあたりからの抜群のコントロール性などを持たせることで、軽さのデメリットを補っていたのだ。

ロータス・エリーゼ

 現在のフェイズ3(マーク3やシリーズ3とも呼ばれる)へと発展した最新のエリーゼも基本的にはそうした乗り味をしっかりと受け継いでいて、クルマを軽く作るのがさまざまな要因から困難となっている時代にして、もっとも軽いモデルはドライで798kgとがんばってくれているけれど、なかには220馬力に25.4kg-mという強力なパワーユニットを持つモデルもあって、さすがに足腰はもう少し引き締められている。ロータス・エリーゼ

 最新のエリーゼは最新のエリーゼでパワーの如何に関わらず抜群に楽しいスポーツカーであることは間違いないが、個人的にはフェイズ1の初期のころの驚くほどしなやかな動きを見せて「コーナーではどうにでもできるんじゃないか?」とすら感じられた、あの無二の乗り味を懐かしく感じられたりもする。ないものねだり、なのだろうけれど。ロータス・エリーゼ

 エリーゼという車名は当時の筆頭株主だったロマーノ・アルティエーリの孫娘、エリーザにちなんだものだ。そういえばロータスは創設者のコリン・チャプマン亡きあと、デヴィッド・ウィッケンズ、ゼネラル・モーターズ、ロマーノ・アルティエーリ、プロトン、DRHハイコムと経営権が移り、今年の5月には中国のジーリー・オートモービル(吉利汽車)が株式の51%を所得して事実上の経営権を得ている。ロータス・エリーゼ

 ジーリーといえば、親会社のジーリー・ホールディング・グループが2010年にスウェーデンのボルボ・カーズを参加に収め、ボルボのクルマ作りをいい方向に向かわせたことでも知られている。そしてロータスの主力モデルであるエリーゼが、そろそろ刷新されるべき時期を迎えつつあることも周知の事実だ。これまで経営難に苦しんできたロータスもボルボ同様ジーリーの資本参入によって開けていくものと予想されているが、それが次期エリーゼから活かされていくことを、ひとりのファンとしても大いに期待している。


嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
好きな有名人
-

新着情報