動力なしの新感覚レース! 面白すぎる「ソープボックスカート」LA大会リポート (1/2ページ)

10月には東京大会が行われる!

 強烈に面白いイベントが10月22日(日)、東京で行われる。その名も「RED BULL BOX CART RACE 2017.(レッドブル ボックスカート レース)」だ。


ホームページを見ると「手作りカートで駆け抜けよう!」、「誰もが主役になれるレース。」などの文字が並ぶ。このレース、普通の日本人が想像するようなカートレースとはまったく違う内容だ。


そして、8月20日にアメリカのロサンゼルスで、同イベントのLA大会、「RED BULL SOAPBOX RACE LOS ANGELES(レッドブル ソープボックスレース ロサンゼルス)」が、メジャーリーグベースボールチーム、ロサンゼルス・ドジャースのスタジアム敷地内にて行われ、現地取材を行ったのでお届けしよう。


まずどんなレースか。参加チームはすべて素人で、事前応募の中から選抜された61チームが参加。マシンは動力のないカートで、下り坂のコースを、最初の手押しによる勢いと重力によって下っていくという内容となる。


じつはこのソープボックスカート、もともとは子供の遊びなんだとか。日本でいうところの、段ボールによる芝そり遊びのようなものだ。それをレッドブルが大人の競技に仕立て上げたというワケ。

 このレースの妙味は、勝ち負けが単なる速さだけじゃないというところ。各チームのカートは色々なテーマに基づいて作られる。実際にLAで見たカートのなかには、「ファットマン」というバットマンのパロディ、「スターウォーズレゴ」、「ビートルズ」、はたまた日本のアニメ「ドラゴンボール」などをテーマにしたものもあった。

 ハッキリ言って、全チーム作り込みが凄い! 手抜きチームは1チームも見当たらなかった。それもそのはず、このレースの勝ち負けには、「カートのオリジナリティと完成度」の採点も含まれるのだ。


そしていよいよスタートが近づく。素人カートの大会とは思えない盛り上がりぶりで、全長2000フィート(約610m)のコース脇にはスタートからゴールまでズラリと観客が並ぶ。

 そしてオープニングパフォーマンスは、レッドブル ストリート フリースタイル モータースポーツ アスリートのアーロン・コルトン選手による、バイクパフォーマンスだ。バイクに乗り、ウイリーあり、ジャックナイフあり、マックスターンありのど派手な演技でコース脇の観客を盛り上げる。正直これだけでも見る価値あり。

 続いてレッドブル エアフォースが登場。パラシュートで空から2名が舞い降りてきた。そしてついにカートレースがスタートする。


まずはアマゾンプライムがオープニングデモラン。このカートは日本でもお馴染みのインターネット通販、アマゾンのお届けボックスを模したカートだ。


その後、いよいよ参加チームの登場! チームはまずスタート地点にマシンを進め、そこでインタビューとパフォーマンスを行う。このパフォーマンスがなんとも面白い! ハイレベルなダンスあり、学芸会ノリの寸劇ありと、チームメンバー全員がマシンのテーマに沿ったコスプレをしつつ審査員にアピールするのだ。

 そして審査員席の5名がそれぞれ1〜10点のボードで即時採点。「一般の素人が頑張っているのだから……」などと7〜10点あたりに収まるのではなく、意外なほどの激カラ採点も飛び出したりする。


そのパフォーマンスが終わると、1〜2名のドライバーが乗り込み、残りのチームメンバーがマシンを押し出してスタート! 一気にダウンヒルを行う。このコース、当然まっすぐではなく、曲がりくねったコーナーが待ち受けていて、操舵したり、乗員が体重移動をして走り抜けなくてはならない。しかしながら素人の手作りカートだけあり、なかなか狙ったとおり走らないのが見どころなのだ。


事前のピットウォークで観察した様子では、トレッド、ホイールベース、サスペンションジオメトリーまで考え抜かれて作り、ダブルウイッシュボーンサスを備えた超本格的な構造のカートもあれば、自転車を2台バラシて繋げただけのようなシャーシのものまであった。それゆえ、驚くほどスムースに走り抜けるカートがある一方で、操舵した瞬間にマシンが壊れてドライバーが放り出されるカートもある。


どう考えてもマシンは壊れてカッコ悪い上に、人も地面に打ちつけられて痛いだろうに、立ち上がるや否やガッツポーズで観客にアピール! それを観客が指笛や拍手で讃えるなど、もう参加する人すべてがヒーロー扱いなのだ。こうした雰囲気、始めは斜に構えて見ている人でも間違いなく飲み込まれてしまうから素晴らしい。


コースは最後のフィニッシュポイントにジャンピングスポットが設けられ、これを飛び越えてフィニッシュライン先のストローバリアにぶつかって(なぜかほとんどのマシンがぶつかってドライバーが飛び出すパフォーマンスをみせる)終了。


「マシンのオリジナリティと完成度」、「パフォーマンス」、「タイム」の合計で総合順位は決まり、LA大会の1位は、「OJ&THE WHITE BRONCO」、2位「SWAMP MONKEYS」、3位「SPICY NOODLE」というものだった。3位のスパイシーヌードルは、明らかに我らが日本のカップヌードル号だ。


また、嬉しいことにLA在住の日本人チームも「MOBILE CASTLE」チームとして出場していて、カートは「姫路城(白鷺城)」をモチーフにしたものを製作。

 またパフォーマンスでは、坂本九さんが歌い、アメリカのビルボード ホット100でアジアの楽曲として唯一全米No.1に輝いた名曲「上を向いて歩こう(SUKIYAKI)」が使用され、筆者のハートを熱くしてくれた! コースもかなりのタイムで完走し、総合7位に入っている。


さて、冒頭でも触れたが、この激熱イベントが10月22日、日本の東京・赤坂で開催される! すでに事前申し込みのなかから65チームの出場チームが確定、マシンの製作に入っていると思われる。アクセスのいい都心開催で、入場無料とくれば行くしかない! お祭り気分でぜひ出場チームを盛り上げてほしい。


石田貴臣 ISHIDA TAKAOMI

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読書(ミステリーが主)、TVでのサッカー観戦(バルサ/PSG/アルゼンチン代表/UCL全般)、映画鑑賞
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