50歳以上しか知らない!? クルマの「キャブレター」とは

燃料を気化して混合気を作る装置

 日本語では「気化器」です。燃料を気化する装置で、エンジンの吸気系のなか、エアクリーナーとエンジンの中間に配置されていました。過去形なのは、現在はキャブレターを使用している自動車用エンジンがほとんど存在しないからです。キャブレターよりも精度が高いので、燃費や排出ガス対策に有利な電子制御燃料噴射装置が一般的になっているのです。

 現代のエンジンでは、エアクリーナー→スロットルボディ→インテークマニホールド→エンジンという空気の流れになります。電子制御燃料噴射装置のインジェクターは、インテークマニホールド(=ポート噴射)か、エンジンのシリンダーヘッド(=直噴)に組み込まれています。その両方を使うトヨタD-4Sのようなデュアルインジェクションシステムも、ハイパワーエンジンでは拡がりつつあります。

 キャブレターの構造は、スロットルボディとそこに燃料を吹く機能を一体化したものです。ガソリンは放っておいても気化しますが、ハイパワーを出すためには多くの燃料が必要で、そのためにはより効率的に気化する構造が求められます。具体的にいえば、吸気経路の一部だけを狭く絞って空気の流速を高めることで負圧を発生させます。そこに燃料を吹く管や溝を配置することで、燃料を吸い出して気化と混合を促進させます。自然に発生する現象を使った、面白い技術です。

 エンジンをハイパワー化するためには大きなキャブレターが必要になりますが、エンジンルームに収まりにくく、効率も悪化してしまうので、キャブレターを複数に増やします。ふたつにしたものがツインキャブでスポーティなクルマにとっての大事なアイコンになっていましたが、超ハイパワーを狙って3つ、4つとキャブレターを装備したクルマもありました。

 さらに、ひとつのキャブレターにふたつのベンチュリーを持つのが2バレルキャブで、高性能なウェバーやソレックスなどは基本的に2バレルであり、ツインキャブだとしても事実上は4キャブです。また排出ガス規制が強化されてきた時代には、低負荷と高負荷で2つのバレルを切り換えるタイプが主流となっていました。


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